食品事故原因の1位は前年に引き続き不正表示
2022年1月1日~2022年11月17日にかけて、厚生労働省に届出があった公開回収事案は821件だった。このうち不正表示が66%と大半を占めており、内訳は賞味期限切れが23%、アレルゲン情報の誤りが26%、その他の不正表示が17%となっている。続いて、品質不良が16%、異物混入が11%、包装不良が1%、その他が6%という結果となった。
不正表示の主な内容は、アレルゲン情報の欠落や原材料情報の不足、賞味期限情報の欠落、表示シールの貼り間違いなどが挙げられる。
【不正表示の例】
例1:原材料誤使用によるアレルゲン「りんご」表示の欠落
例2:他商品の表示シールと貼り間違え
例3:外袋に記載の原材料表示等の印刷が、別商品の内容にて印刷されている
なお、2020年前半(1~6月末)に集計された食品事故情報を参考にすると、不正情報に関する食品事故が全体の68%だった。今年も食品表示法違反に関する届出が66%であることを考えれば、引き続き情報管理を徹底し、自社の製品情報の表示ミスがないように注意する必要があると考えられる。
食品分類ごとの回収理由傾向
食品分類ごとにみると、調理済みの加工食品が突出している。また、菓子や調味料・未調理品に分類される加工食品も多くみられる。以下、食品分類ごとの事故原因のグラフを上段左から並べてみる。
加工済み調理品については、アレルギー表示と賞味期限に関する不正表示が特に多い。使用される食材が多いため、表示ミスが起こりやすいことが一因と考えられる。
不正表示を防止するためには、商品規格書による情報管理が必須
原材料の仕入れ先や商品の製造工程を変更する過程でアレルゲン情報や添加物情報を修正する必要が生じる場合もある。情報が変化するたびに商品規格書の変更を記録するのは非常に手間と時間がかかる作業だ。そこで、食品リコールの発生を防ぐためには、商品のアレルゲン情報や添加物情報、原材料の産地などのデータをまとめた商品規格書をIT管理する対策が効果的だ。
商品の品質に問題がない場合でも、ほんの些細な不正表示によって回収を余儀なくされ、売上損失や甚大な信頼低下につながるおそれがある。システム化による情報管理体制を万全に整えて、自主回収を未然に防げる仕組みづくりを進めていきたい。
【参考】厚生労働省 食品リコール情報検索
※最新の情報は自主回収報告制度(リコール)に関する情報(厚生労働省)をご覧ください。