3ステップではじめるHACCP制度対応~改正食品衛生法による義務化に備えて

法令対策2019.04.17

3ステップではじめるHACCP制度対応~改正食品衛生法による義務化に備えて

2019.04.17

最終更新日:2020年8月31日

3ステップではじめるHACCP制度対応~改正食品衛生法による義務化に備えて

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最終更新日:2020年8月31日

目次

食品衛生法の改正により、すべての食品等事業者に求められることとなったHACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)制度。2020年6月1日から制度が施行され、事業者は1年の経過措置期間を経た2021年6月1日から完全施行となっている。具体的な基準については、厚生労働省の「HACCPに沿った衛生管理の制度化」で公布されているが、事業者の中には、「何から始めたらいいか分からない」というところも多いのではないだろうか。

HACCP制度への対応は、大掛かりな設備改修や専門家への依頼、認証などは必要なく、3ステップで始めることができる。その手順を見てみよう。
[監修]公益社団法人 日本食品衛生協会

まだ間に合う、けど準備はそろそろ必要

HACCP制度施行スケジュール 
●2019年夏前まで
・厚生労働省による有識者会議(検討会)の取りまとめ(案)に対し、国民から意見や質問を募集。 その結果をWebに掲載(パブリックコメント)
・制度の基準を定める政省令公布
●2020年6月1日
・制度施行(その後猶予期間1年)
●2021年6月1日
・完全施行(ここから義務化)

HACCPに沿った衛生管理は2021年6月1日から実施しなければならない(制度施行日から1年後)。日本政策金融公庫の調査によると、17年の時点で食品製造業者の8割超は導入済みか導入を予定・検討しているものの、導入時の課題は「施設・設備の整備(初期投資)、コンサルタントや認証の手数料などの資金」を挙げた。

また、当サイトが2019年1月に実施したアンケートでは、回答した外食企業の6割が、導入の目処が立っていない状態だった。「費用がかかる」「認証取得などの手続きが面倒」といった漠然とした不安や誤解が、導入の壁になっている可能性は高い。

制度化では大規模な設備の新設や認証は不要

誤解されがちな点だが、HACCPのために専門家を招く必要はない。また、事業者が自主的に取り組めばよいため、第三者機関によるHACCPの認証・認定を取得しなければならないわけでもない。必要なのは、これまで行ってきた衛生管理を、工程ごとに洗い出して「見える化・最適化」することだ。

では、食品衛生法が定めるHACCPの制度化とは、具体的にどのようなことが求められるのだろうか。原則としてすべての食品等事業者は、衛生管理計画を作成しなければならない。ただし、飲食業や小規模食品製造者など特定の事業者は、取り扱う食品の特性等に応じた「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」という、簡略化したアプローチでよいとされている。

実際には飲食店や小規模食品製造事業者は、各業界団体が作成した手引書(厚生労働省のホームページから入手可能)を利用して、温度管理や手洗いなどのやり方を定め、簡便な記録をつけることが想定されている。

その際、必要があるなら、たとえば温度計の購入などはありえるが、設備面で大掛かりな整備や機材の導入などは基本的に不要だ。どの業界も共通してポイントとなるのは、1管理計画の作成、2実施、3記録・保存の3点である。次ページ以降でHACCP制度の取り組み方を3段階に分けて紹介するので、ぜひ導入に向けたはじめの一歩を踏み出してほしい。


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