3ステップではじめるHACCP制度対応~改正食品衛生法による義務化に備えて

法令対策2019.04.17

3ステップではじめるHACCP制度対応~改正食品衛生法による義務化に備えて

2019.04.17

■ステップ2 計画通り実施する

衛生管理計画の作成では、普段から行っていることを書き出せばよい。必要に応じて、誰でも同じようにできるよう手順書を作成し、従業員に周知徹底しよう。

その際、「なぜ必要なのか」を理解させることがポイントになる。理解がなければ正しい実施ができず、継続的な管理も難しいだろう。責任者は、従業員教育の場を作ることが必要だ。

■ステップ3 実施内容を記録する

一般的衛生管理の実施記録(飲食店)

飲食店用『一般的衛生管理の実施記録』(PDF)
その他業界のPDFは厚生労働省の
ウェブページから入手可能

計画を実施した後は記録を残し、1年間保管することが必要だ。記録することで衛生管理が適切に実施されているか確認でき、万が一問題が発生した場合、管理が適切だったことの証拠書類となる。逆にいえば、記録をとっていなければ食中毒の事故が発生した際に適正な管理を行っていた証拠がなく、顧客や取引先の信用も失ってしまう。

作業するたびに、または1日の終わりなどタイミングを決めて、必ず記録を残す習慣をつけよう。また、日々の記入者とは別に、内容を確認する責任者(マネージャーや店長など)を決めておこう。

継続して記録していくには、〇・×や良・否でチェックするといった、誰でもわかりやすく記入できるものが望ましい。業態や規模によって必要項目は変わってくるので、自社にあわせて考えてみてほしい。また、衛生管理計画は、一度作ってしまえばそれで終わりではなく、記録をもとに、定期的(月に1度など)に振り返りを行って、問題があれば改善していくことが大切だ。

工程ごとの注意点

食品工場や配送車、飲食店などでの工程で、特に注意が必要な箇所を抜き出した。食中毒の事故は、有害な微生物が繁殖して、他の食材に付着することで広がっていく。微生物が繁殖しやすい危険温度帯(10~60℃)に食品が長時間とどまらないよう注意し、その他の異物混入や食品表示ミスなどの事故も、しっかり管理して防いでいこう。

仕入れ○食中毒対策
・外装の汚れや破損、消費期限、においなど、衛生状態や腐敗の有無をチェック。
・残留農薬、食品添加物の不適切使用がないか、商品規格書でチェック。
保管○食中毒対策
・冷蔵・冷凍品は室温に置く時間をできるだけ短くする。
・生肉や生魚などはフタ付きの容器に入れて冷蔵庫の最下段に配置。
製造○異物混入対策
・製造機器、調理器具類は部品の欠損がないかチェック。
・金属探知機などは正常動作しているかチェック。
○コンタミネーション(アレルゲンの意図しない混入)対策
・製造機器や調理器具類はできるだけ専用のものを使用。共用する場合は充分に洗浄。
 製造・調理する順番は、低アレルゲンのものから始める。アレルゲンは商品規格書などでチェック。
包装○法令対策
・表示ラベルは、アレルギーや賞味期限などに誤りがないか商品規格書でチェック。
配送○食中毒対策
・製品を直接日光、不適切な温度帯に長時間さらしたりしないように注意。
・においの強い製品とそうでないものを一緒に運搬する場合は、移り香に注意。
・未包装、簡易包装の製品は、出荷用具を覆うなどで対策。
調理・提供○食中毒対策
・非加熱のもの(冷蔵品をつめたいまま提供)は、冷蔵庫から出したらすぐ提供(例:刺身、冷奴、サラダ、酢の物など)。
・加熱するもの(冷蔵品を加熱し、熱いまま提供)(加熱後、高温保管するもの)は、加熱時間、表面の焼け具合などをチェック(例:ステーキ、焼き魚、天ぷら、炒め物など)。
・加熱後に冷却し再加熱するもの、または加熱後冷却するものは、速やかに冷却する。
 再加熱する場合は、気泡や見た目などをチェック(例:スープ、ポテトサラダなど)。
・手洗いを徹底し、2度洗いしたあとにアルコールでの消毒を奨励する。
・手指に手荒れや化膿巣のある人は、食品に直接触れない。耐水性ばんそうこうをつけた上から手袋をする。
・下痢など消化器系症状のある人には調理させない。
・調理器具は塩素系殺菌剤などで殺菌する。
・肉、魚、野菜などの食材ごとに、調理器具を分けて使う。
・肉や卵に触れた手指や器具は、その都度洗浄、消毒する。
・消費期限が過ぎたものは廃棄する。
○アレルギー事故対策
・注文者に調理品を正確に提供して、誤配膳を防ぐ。

手引書を見ながらはじめよう

HACCP制度の導入は、3ステップでできることがお分かりいただけただろう。これまで勘や経験に頼ってきた衛生管理を見直して安全性を高めるには、施設や店舗の特性にあわせた衛生管理計画を立てる必要もある。何事も、はじめることや続けることに不安がともなうのは当然だ。各業界団体が開催しているセミナーなども活用しつつ、まずは、厚生労働省のウェブページで公開している「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」に沿ってスタートしていただきたい。

監修:公益社団法人 日本食品衛生協会

※最新の情報は食品衛生法の改正について(厚生労働省)をご覧ください。


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