居酒屋JAPAN2020ダイジェスト~先進の経営者が語る外食の極意

セミナー・イベントレポート2020.01.29

居酒屋JAPAN2020ダイジェスト~先進の経営者が語る外食の極意

2020.01.29

『肉汁餃子製作所ダンダダン酒場』を展開するNATTY SWANKY(現:株式会社ダンダダン)の井石氏は、出店スピードのポイントに「街に縛られない出店」をあげた。

「出店場所にあわせた業態開発、レシピ開発を毎回行っていたらコストがかかります。業態もメニューも絞り込み、店舗経営に集中するのが我々の方針です。また、物件は基本的に申し込みの先着順なので、すぐ申し込むことが重要です」

居酒屋からファミレスまで業態別に大解剖~売れるメニューはこうデザインする!

【パネリスト】
・ロイヤルホスト株式会社 商品企画部長 岡野孝志氏
・株式会社バイタリティ 村山奈々氏
・株式会社ADASTRIA eat Creations営業本部マネージャー 加藤小百合氏
・株式会社DELICIOUS DESIGN代表取締役社長 秋山あゆ氏
【コーディネーター】
・日本外食新聞 編集長 川端崇嗣氏

ファミレス、和風大衆居酒屋、カフェ、カジュアルレストランそれぞれの業態がメニューデザインのポイントを披露した。

たとえばメニューに写真を載せると、肉の焼き色やサイズなどが違うという指摘を受けることがあるという。消費者側に立てば、写真と実際提供される料理があまりに違うとがっかりして、二度と来店しないだろう。写真は盛ったりせず、むしろ1割程度引いたサイズ感で載せるほうが無難だ。

売りたいメニューはメニューブックを別に作って特別感を演出するといった工夫はどの業態でも取り組んでいる。また、日本酒などはルビをふって注文しやすくする気配りもほしい。

どんな業態であっても、メニューブックは店のストーリーを客に伝えるツールだ。どんな料理なのか、見た目や文字情報だけでなく、そこにスタッフの「おすすめです」「北海道産です」といった一言が添えられることで完結するストーリーを持つことが必要だろう。

続★ちょっとその接客!ダサくありませんか?★視点を変えれば愉しくなる「サービスのチカラ」接客理論&トレーニング編

【登壇者】
・株式会社プレジャーカンパニー 営業本部サービスマネージャー 遠山啓之氏
【コーディネーター】
・株式会社ピーカチ 取締役副社長COO 西林厳史氏

自分が客の立場なら、ダサい接客の店に行きたいと積極的に思うことはないだろう。では、ダサい接客とは何か。総じて、客にも仲間にも敬意を払えない、相手を喜ばせようという心のない接客だ。たとえば、笑顔のない繁盛店はまず長続きしないように、豊かな表情で相手を幸せにするのはサービスの基本といえる。

逆に、店長が常にスタッフを怒鳴り散らしている場合はどうだろう。自分にマネジメント能力がないと喧伝しているようなものだ。イライラには生産性がない。スタッフのトレーニングは営業中ではなく、そのために別途時間を確保すべきだろう。

ポイントは、自分を軸にするのではなく、相手がどう考えるかに重きを置くことだ。

「知らない、気づかない、わからないをなくすのが教育の基本」だという。まず視点を高くもち、気づきを得ることでホスピタリティが発揮できる。それがダサい接客との分かれ目になるだろう。

【人が辞めないための仕組みとは?】~スペシャルゲスト4名によるトークセッション~

【登壇者】
・株式会社NATTY SWANKY(現:株式会社ダンダダン)副社長 田中竜也氏
・株式会社ギフト 代表取締役 田川翔氏
・株式会社ROI 代表取締役社長 益子雄児氏
・株式会社あしたのチーム 取締役 事業部本部長 赤羽博行氏

いうまでもなく飲食業界の人手不足は深刻で、人手不足倒産の件数も他業種に比べ突出している。働き方改革関連法案で、有給休暇の義務化は残業制限、さらには同一労働同一賃金といった法改正もいずれ現実のものとなる。

雇用側にとって難しいそれらの課題をクリアしたとしても、なおも人が集まらない、長続きしないといった問題は続くだろう。人を定着させるにはES(従業員満足度)の向上が必須だ。登壇したいずれの企業も、研修により理念を浸透させ、明確な目標をもってそこにステップアップしていくことの重要性を指摘。

さらに成果のフィードバックとして、評価制度やインセンティブでモチベーションを高める取り組みを紹介した。

繁盛店のコンセプト作り~業態ストーリーをド変態社長達が語る!~

【登壇者】
・「焼肉 冷麺 味楽園」代表取締役社長 康虎哲氏
・株式会社馬喰ろう 代表取締役 沢井圭造氏
・株式会社スパイスワークスホールディングス 代表取締役 下遠野亘氏
・有限会社たるたるジャパン 代表取締役 齊藤崇氏
・株式会社イーデザイン 代表取締役 佐藤充氏
・株式会社Elevation 代表取締役 山崎聡氏

繁盛店の店主たちが、店名のつけ方や業態づくりの原則などをテーマに、縦横無尽のトークセッションを繰り広げた。耳に残るフックのあるネーミング、思わず口に出したくなるのがいい店名だと盛り上がる。

また、たとえば『肉寿司』などのように、商品名がそのまま店名になっているもの、あるいは地名が入っているものは検索ワードで上位に表示されやすいといったテクニックも。繁盛店の店名はSNS上でひとり歩きし「フレーズが踊る」という。

飲食店を設計から経営、プロデュースと総合的に手がけるスパイスワークスの下遠野氏は、「5店舗作ったら1店舗は必ずチャレンジする」と述べた。100業態あるうちのひとつくらい、ダメな店があることで努力するし、それがないと鼻もちならない集団になってしまうという。

それでも閉店した業態は10店舗ほど。どこが悪かったか再検証してブラッシュアップすることで失敗は失敗でなくなるとした。

お客様の顔が思い浮かぶ店だけが、繁盛店になる

2日間あわせて24の主催者特別セミナーが開催された居酒屋JAPAN2020。

すべては網羅しきれないが、どのセミナーもテーマは異なりながら、共通して訴えていたのは、人と人とのつながりの重要性だ。それこそ仲間同士、あるいは見知らぬ同士でも同じ空間で時を過ごして関係性をはぐくむ、居酒屋ならではの居心地の良さそのものでもある。

後編「外食アワード2019表彰式開催。受賞者6人の言葉と、未来型の飲食店経営者が描く10年後の姿」では、初日に行われた「外食アワード2019」表彰者の顔ぶれの紹介と、今年の居酒屋JAPAN特別セミナーのラストを締めくくった、スペシャルトークセッションの模様をお届けする。

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