飲食業界に必要な2024年問題対策の進め方~日本外食品流通協会 小田会長

卸・メーカー2024.03.18

飲食業界に必要な2024年問題対策の進め方~日本外食品流通協会 小田会長

2024.03.18

飲食業界に必要な2024年問題対策の進め方~日本外食品流通協会 小田会長

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食品卸業界で喫緊の課題となっている「物流の2024 年問題」。今年4月からトラックドライバーに働き方改革関連法が適用され、時間外労働の上限が年960時間になる。

規制により運搬できる量や頻度が減るなど、およそ物流に関連するあらゆる業界に深刻な影響をもたらす。飲食業界にも影響の大きいこの問題についての解説とともに、日本外食品流通協会の小田英三会長に食品卸売業、飲食業の両面から取るべき対策を聞いた。

目次

「物流の2024年問題」とは?

2024年問題とは、働き方改革関連法(改正労働基準法)によって2024年4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称のことだ。

トラックドライバーが一定以上の残業ができなくなるうえ、他業種と比べて長時間労働や低賃金問題によるなり手不足と人材の高齢化などが影響し、現状の物流量を維持できないことになる。

国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の試算では、2024年問題に対して何も対策を行わなかった場合、営業用トラックの輸送能力は2024年に14%不足、2030年には34%不足すると試算されている。

■自動車運送事業における時間外労働規制の内容

 

2024年3月まで

2024年4月から

時間外労働の上限
(労働基準法)

なし

年960時間
(原則年720時間)

拘束時間
(労働時間+休憩時間)
(改善基準告示)

1日

原則13時間以内
最大16時間以内
(15時間超は1週間2回以内)

原則13時間以内
最大15時間以内
(14時間超は1週間2回以内)

1カ月

原則293時間以内
(労使協定により、年3,516時間を超えない範囲内で、320時間まで延長可)

原則284時間、年3,300時間以内
(労使協定により、年3,400時間を超えない範囲内で、310時間まで延長可)

休息時間

継続8時間以上

継続11時間を基本とし、9時間下限

連続運転時間

4時間を超えないこと

4時間を超えないこと

■2024年問題の対策をしない場合の輸送力の不足分試算(2019年度比)

[参照]国土交通省「物流の2024年問題について」(PDF)

「物流の2024年問題」は飲食業界にも深刻な影響をもたらす。卸による従来の配送が困難になり、仕入れの配送依頼を断られたり、配送頻度が減ったり、必要な時に必要なものが届けられなくなったりするおそれがある。水産品、農産品などは新鮮なものを仕入れられなくなることもありえるだろう。

「うちは長い付き合いのある業者から仕入れているから」とはいっても、その業者に卸している仲卸にもその上流にある卸業者にも、等しく2024年問題は影響している。 卸売業だけでなく、飲食業も小売業も、まずは2024年問題とその影響を正しく認識し、共に生き残る策を模索するしかないのだ。

食品卸、飲食店など飲食業界がすべき対策

日本外食品流通協会 会長
オーディエー株式会社
会長・東日本支社長
小田 英三 氏

「2024年問題を乗り切るには、まずは生産性の向上を進めることが求められます」

 一般社団法人外食品流通協会の小田英三会長は、そう話す。飲食店や給食事業者向けに業務用食材や食品製造用原材料の仕入・販売を手がけるオーディエー株式会社の会長でもある小田会長は、卸業界だけでなく、納品先にあたる飲食業の実情にも詳しい。

「2024年問題の対策として、まずは各卸業者とも配送ルートの見直しを図るべきでしょう。具体的には荷物の到着時間を整理する。荷受け側にも体制変更などで協力していただくため、何よりも荷受け側との間で詳細な打合せが必要になります」

実際に小田会長は、自社のルートを見直して26あった配送コースを23に削減した。根気強い交渉の成果もあって荷受け側からの協力が得られ、大きな反発はなかったという。一方で、コースを削減したとはいえ余裕のできた人員をどう配置するのかという問題が生じてくる。

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