和食の技術とおいしさを国内外に向けて発信
【Q】店舗運営の方針を教えてください。
飲食業として“JAPAN QUALITY”を発信し、日本のファンを国内外につくることを、弊社のミッションとしています。
店舗での例をあげれば、焼き鳥専門店「鳥幸」では肉の部位によって串の打ち方や焼き方を変え、複数の塩やたれによる味付けで提供しています。また、「ぬる燗佐藤」では、日本酒の温度を11段階に分けて、味の変化を楽しんでいただいています。
こうした取り組みの中で、2017年ニューヨークに出店した寿司店「AMANE」が、2年連続でミシュランの1つ星をいただきました。料理人の繊細な技術が冴える和食業態をつくる一方で、日本国内では大衆酒場「やきとんエイト」や九州料理の居酒屋「神屋流 博多道場」などのカジュアルな業態も展開しています。(尾田原氏)
【Q】ここ数年、店舗展開を加速していますね。
2011年に業態開発した「鳥幸」と「ぬる燗佐藤」で、転換期を迎えました。ハイクラスな和食業態を求める駅ナカや大型商業ビル、百貨店などを手がける大手デベロッパーから、出店のお声がけをいただくようになったのです。商業施設の進出で全体の店舗展開が加速し、2014年には30店舗となり、現在27業態で64店舗(国内59店舗、海外5店舗 ※2018年11月現在)を出店しています。(内山氏)
【Q】急成長される中で、気をつけていることはありますか?
ブランドの品位を保つため、食の安心・安全に対する意識はいっそう配慮するようになりました。特に、出店先の商業施設が求める基準は厳しく、メニューの表記ひとつとっても、あいまいな表現は許されません。たとえば地鶏を使用する場合も証明書の提出が必要ですし、「厳選」の表示根拠も求められます。しっかりした商品を提供することに加え、従業員にも食品衛生や食物アレルギーに対する知識を、研修などを通じて身につけてもらっています。(尾田原氏)
百貨店や商業施設への出店では、メニューの改変があるたびに使用する食材のアレルギーや原材料の産地を証明する商品規格書(※)の提出が欠かせません。これには規格書の情報を回収するシステム『BtoBプラットフォーム規格書』を使って対応しています。
以前は食材の取引業者に、メールや電話で情報を何度も確認する手間がかかっていました。今はシステムを使って回収した規格書をそのままプリントアウトして、メニュー表と一緒に百貨店へ提出するだけでよくなり、スムーズになって助かっています。(内山氏)
(※)商品規格書・・・食品のアレルギーや原料産地などの情報をまとめた仕様書。
これまで事業拡大をしてきた当社は攻めの一手で、気がつくと“守り”が手薄でした。衛生管理や食物アレルギーへの対応など、売上に直結するわけではない部分です。しかし、今後のさらなる成長のためにも、リスク対策で守りを固めていく必要性を強く感じています。(尾田原氏)