【Q】タイ屋台999(カオカオカオ)開業の経緯を教えてください
もともとタイ料理を作るのも食べるのも好きだったので、好きが高じて、自分で店をやってしまおうと考えたのです。それまでは、臨床心理学の研究員として大学で長年研究を続けていました。
研究員時代に、タイ屋台の雰囲気をもつカフェに出会ったことが、タイ料理にハマったきっかけです。常連客として通いつめるうち、その店で働くまでになっていました。「研究」の対象が、心理学から「タイ屋台料理」や「飲食業」になった形です。
【Q】タイ料理とタイ屋台料理には、なにか違いがあるのでしょうか?
けっこう難しい質問ですね。一般的にタイ料理というのはアユタヤ王朝時代に入ってきた文化と、その後19世紀20世紀くらいに西洋から入ってきた文化によって作り上げられた王宮料理や、少し位の高い人の食べる料理を指していました。
一方でタイ屋台料理は、中国の華僑の人たちがタイに渡ってきた時に日常的に作っていた料理です。日本でいえば、料亭や割烹の料理と、肉じゃがとか味噌汁などの家庭料理くらいの差があるんです。
これまで日本でタイ料理というと、ちょっと高価な感じや、リゾートな雰囲気の店が多かったと思います。でも僕は絶対に日本人はタイの屋台の空間のほうが好きだろうと考えていました。
理由は、昨今の大衆居酒屋や、昭和レトロに代表されるブームです。みんな意外とチープな雰囲気というか、ガヤガヤ楽しむ雰囲気のほうが好きじゃないですか。
2014年9月にオープンした中野本店は、通りにも面していない、奥まった場所に作りました。不利な立地を武器に変えるため、あえてタイ屋台料理屋でもちょっと裏路地の「隠れ家的」な店づくりを目指しました。