■例外(4):中間加工原材料の製造地表示
・対象原材料が中間加工原材料である場合に、当該原材料の製造地を「○○(国名)製造」と表示する方法。<表示例A>
・中間加工原材料である対象原材料の原料の産地が判明している場合には、「○○製造」の表示に代えて、当該原料名とともにその産地を表示することができる。<表示例B>
<表示例A>
名称 | 清涼飲料水 |
原材料名 | りんご果汁(ドイツ製造)、果糖ぶどう糖液糖、果糖 |
<表示例B>
名称 | 清涼飲料水 |
原材料名 | りんご果汁(りんご(ドイツ、ハンガリー))、果糖ぶどう糖液糖、果糖 |
当初、「○○加工」の表示で検討されましたが、「加工」であれば、単なる切断や混合等を行った場合にも原産国として表示が認められることになりかねません。そこで、「○○製造」として、その原料として使用したものとは本質的に異なる新たな物を作り出した場合に限り、その製造が行われた国を表示することになりました。
事業者の対応、今後の動き
最後に、今回の表示義務の拡大を受けて、食品関連事業者が気を付けなければいけないポイントをまとめてみました。
・事業者は、表示内容が正しいことを確認(証明)できるよう、根拠(書類)を保管しておく必要がある。
・特に例外表示は、過去の使用実績等(新商品の場合は使用計画)の根拠となる書類の備置き等を必要とする。
・使用割合が極めて低い産地についてなど、誤認が生じないよう注意が必要となる。
事業者はまず、根拠となる書類(商品規格書など)の管理について、見直す必要がありそうです。使用原材料の過去実績などを把握しなければならない場合には、規格書管理に「期間」の視点も必要となります。特に原材料の産地が変わる可能性のある商品を取り扱う企業の方は、早めの対策が必要です。
なお、外食、中食でもセントラルキッチンなどを利用した販売をしている企業は、規格書管理がより重要になると思われます。さらには、飲食店などでも産地表示の二―ズが高まる可能性もあると考えられます。
とりまとめ案公表後の2017年1月現在、各地で事業者向け説明会が開催されています。その後、パブリックコメント(意見公募)の期間になります。原料原産地表示は各方面から様々な意見が出されている可能性が高く、この結果によってはQ&A等での記載に少なからず影響があると考えられます。
現時点で表示の移行期間(猶予期間)について具体的に言及されていないことや、食品表示基準への移行期間と重複していることなどを考えると、事業者の方は積極的に最新情報を確認されるとよいでしょう。続報があれば、こちらのコラムでも引き続きご紹介していきます。
参照:加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会中間取りまとめ
※最新の情報は新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報(消費者庁)をご覧ください。