これらを受け、2016年1月~11月にかけて、消費者庁と農林水産省の共催による『加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会』が開かれることになり、「実行可能性を確保しつつ」表示拡大に向けた具体的な方策などが検討されることになりました。
検討会ではまず、関係者のヒアリングから始められました。生鮮食品に近い加工食品を製造する事業者は表示の拡大を希望する一方で、多種多様な原材料を使用した加工食品を製造する事業者は実行可能性を懸念しました。そして様々な議論の末、11月に検討会のとりまとめ案(いったんの結論)が公表された、という流れになります。
表示の改正案(とりまとめ案 概要)
それでは、今回のとりまとめ案で発表された新たな表示対象や方法などを具体的にみていきましょう。
【対象となる食品】
・国内で製造し、又は加工した全ての加工食品を義務表示の対象とする。※1
【対象となる原材料】
・製品に占める重量割合上位1位の原材料を義務表示の対象とする。
※1)対象とならない(原料原産地表示を要しない)場合は以下のとおり。
・食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合
・不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く)する場合
・容器包装に入れずに販売する場合
・容器包装の表示可能面積がおおむね30平方cm以下の場合
このように、改正案では、表示義務の対象がすべての加工食品に広げられました。なお、外食業態におけるテイクアウト(正確には「加工食品又は生鮮食品を設備を設けて飲食させる場合」において、「食品を容器包装に入れて販売する際」)は、原材料名の表示は対象外です。ただし、別の場所にあるセントラルキッチンから配送されたものを販売する行為は、消費者への直接販売に該当しないため、原材料名の表示が必要になります。
【表示の方法】
■原則:国別重量順表示
・対象原材料の産地について「国別重量順表示」を原則とする。
・原産国が3か国以上ある場合は、現行ルールと同様、3か国目以降を「その他」と表示することができる。
<表示例>
名称 | ポークソーセージ |
原材料名 | 豚肉(カナダ、アメリカ、その他) 、豚脂肪、たん白加水分解物、還元水あめ、食塩、香辛料 |
表示方法については、現行ルール(食品表示基準第三条「原料原産地名」の22食品群(別表第十五)の表示方法)と同じです。