業態開発の時代が終わり、飲食店は2極化する。ロイヤルHDの実験店の場合~『FOODIT TOKYO 2018』レポート(前編)

セミナー・イベントレポート2018.10.11

業態開発の時代が終わり、飲食店は2極化する。ロイヤルHDの実験店の場合~『FOODIT TOKYO 2018』レポート(前編)

2018.10.11

労働者不足の飲食店が進む未来

ロイヤルホールディングスはテクノロジーの導入によって人が営業に集中する環境を整えた。これから外食産業が取り入れられるテクノロジーは、ほかにどんなものがあるだろうか。秋元氏から具体例が挙げられた。

秋元「お客様が予約、来店してお帰りになるまで、また、企業側でメニュー開発や採用などで利用できるテクノロジーを見ていきましょう」

<外食産業の未来に向けたテクノロジー>

●店舗(顧客目線)

予約電話ウェブ
ご来店、ウェイティング人による対応、手書き人型ロボット 自動ウェイティング(ナンバーと待ち時間) 顔認証システムチェック 自動チェックイン(テーブルナンバー)
シーティング人によるご案内ロボット テーブルナンバーへセルフ
オーダーテイク人によるお伺いPadによるセルフオーダー 自身のスマホやタブレット
商品提供人により提供ロボット、自動配膳
会計、ご退店レジにて人が対応キャッシュレス、セルフチェックアウト(クレジットカード、IC、指紋)

 

●マネジメント(企業目線)

メニュー開発省人化・無人化に対応したメニュー、AI活用、SNS社会のクリエイティブ
商品の製造省人・省力化対応の厨房システム、機器
採用ウェブ募集、タブレット面接、グローバル対応
研修Eラーニング、マニュアル・人事考課の電子化、写真・動画中心
店舗マネジメント   シフト、レジ締め、棚卸、発注、営業分析、清掃の自動化
本部マネジメント管理部門・営業部門の電子化、スリム化
マーケティング販売促進の電子化、SNS・AI活用、顧客動機にあった情報発信
WEBカメラ顔認証、防犯システム、集客状況の確認
物件開発情報、分析、エントリー

 

ここで挙げられた技術は、生産性の低迷、労働者不足に対して解決策のひとつになる。すでに今、食材の発注やアルバイトの労務管理、顧客台帳、予約・配席管理などを導入している飲食店もある。ただし、こういったテクノロジーの導入は、各企業によって異なっていいと付け加えた。

秋元「飲食店を無人化にするテクノロジーをあえて挙げていますが、配膳はスタッフがお客様の目を見て提供するという企業もあるでしょう。どの部分をテクノロジー化するか、それぞれの企業の個性として考えていった方がいいと思います。ロイヤルさんもファミリーレストランの中では、高品質なサービスを提供していく戦略を取られていますし、弊社もホスピタリティを発揮したブランドを作っていきます。菊地さんはテクノロジー化をどうお考えでしょうか」

菊地「今のテクノロジーの変化は、外食産業にとって非常にフィット感があります。日本は課題先進国といわれていて、少子高齢化や人口減少が世界で最も早く進行しています。そんな国が、何でも人の手でやるというのは、どう考えてもナンセンスです」

現在、世界でテクノロジーを導入した飲食店は増え、アメリカや中国ではヒトのサービスを省略した無人店を展開する動きが始まっている。菊地氏は、日本でも無人店が広がると予測した。

菊地「今後、日本でも無人店はどんどん増えると思います。ただし、日本はおもてなしを大事にする国ですから、ヒトの手を極力介さない無人店と、サービスを充実させたおもてなし重視の店に、おのずと二極化していくのではと思います」

二極化した店舗運営のいずれにも、テクノロジーの活用はある。そこで菊地氏は、人とテクノロジーの活用方法を提案した。

菊地「ヒューマンorロボットではありません。ヒューマンwithテクノロジーこそ、日本らしい活用法でしょう。しかしテクノロジーが膨大にあって自分一人では探せないので、いろんな情報が入るこのようなイベントをオープンな形ですることは、とても大事だと思います」

ロイヤルホールディングス菊地氏が示した、実験店の店長の作業時間が310分から90分になった図を、秋元氏や来場者は数秒のあいだ見つめていた。飲食業界で働き手がすでに減っている中、飲食店が自店らしさを維持するには、働き方を見直し、変えるべきところを変えていかねばならない。ロイヤルホールディングスの取り組みは、どうすべきかのヒントを与えてくれたといえるだろう。

FOODIT TOKYO 2018レポートの後編では、カフェカンパニー株式会社 代表取締役社長 楠本氏が登壇した未来総研のクロージングセッションをお伝えする。


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