業態開発の時代が終わり、飲食店は2極化する。ロイヤルHDの実験店の場合~『FOODIT TOKYO 2018』レポート(前編)

セミナー・イベントレポート2018.10.11

業態開発の時代が終わり、飲食店は2極化する。ロイヤルHDの実験店の場合~『FOODIT TOKYO 2018』レポート(前編)

2018.10.11

(2)スタッフのオペレーションにITをフル活用

実験店のオペレーションでは様々な場面でITを使い、人員の省力化を実現している。

菊地「まずご来店客にキャッシュレスを説明し、セルフオーダー用のiPadをお渡しします。お客様がiPadでご注文すると、キッチンに設置されたモニターに内容が表示され、調理スタッフが料理を作って提供します。店員はアップルウォッチをつけていて、会計などお客様からの呼び出しが分かるようにしています。あらゆるデジタルデバイスを使ってみようと決めました」

閉店後はボタンひとつでレジ締めや掃除ロボットによる自動掃除が行われる。店長は従来店より短い時間で帰宅でき、モチベーションの向上にも及んだという。

(3)セントラルキッチンと厨房機器で、高付加価値のメニューを提供

実験店の厨房では電機メーカーと共同開発したマイクロウェーブコンベクションを導入して、セントラルキッチンから納入された食品の調理を行っている。

菊地「ロイヤルホストの場合は料理長による調理を大事にしているので、セントラルキッチン依存度は低くなってしまいます。本来はもっと高い価値を生み出せるのに使われていないので、セントラルキッチンを主体にして商品開発したらどうだろうと発想しました」

厨房では従来の温めるだけの使い方ではなく、いかに省力化して高い価値を料理に付加するか考えたそうだ。例えば、コックがオニオングラタンスープを100回以上調理して、そのプロセスを機械にプログラムし、再現できるようにしたという。

菊地「メニューごとに温め方やグリルの仕方などが違うので、ひとつひとつプログラミングして、ボタンひとつで提供できるようにしています。幅広い料理を作っていますが、厨房では火も油も一切使いません」

この店舗はあくまで実験的に運用されているため、通常の店舗とは目的が違うという。

菊地「実験店では来客数や売上をあまり重視していません。私にとってのKPIは、店長の業務割合です。営業時間外を大幅に短縮しました」


<オペレーション時間の比較>

項目 従来店舗* 実験店
開店前 キッチンスタンバイ 90分 30分
レジ回り・オープン準備 60分
つり銭準備
30分
決済オーダーシステムの立ち上げ
営業 オーダー テーブルで注文を聞く iPadでセルフオーダー
サービス ・ホール3名
・キッチン2名
ホール・キッチン3名(多能工)
トレーニング ・ホール50時間
・キッチン60時間
・ホール6時間
・キッチン10時間
閉店 レジ締め 40分
現金・割引券・金券処理
約5分
掃除 ・ホール60分
・キッチン60分
・ホール15分(掃除ロボット)
・キッチン15分
棚卸・発注 30分 10分
営業外の作業時間 約 310分 約 90分

※従来店舗:実験店(35坪40席)と同規模で通常の厨房機器類を使用する店

秋元「310分が90分になったのは大きいですね。店長の作業がだいぶ減るわけですから、教育や接客に集中できる。それは大きいのではと思います」

菊地「本来、従業員は価値を直接的に生み出す営業に集中すべきと思います。そのため、我々経営者は営業時間以外に費やしている時間を、いかに効率化するか考えるべきでしょう」


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