ロボットの活動場所が工場からキッチンへ。人と働く未来の姿
たこ焼きロボットを開発したコネクテッドロボティクス株式会社 代表取締役の沢登哲也氏によると、日本のサービス業におけるロボット参入の動きは、ITベンチャー企業を中心に2017年ごろからはじまったという。
「ロボットはこれまで、自動車工場や精密機器の組み立てなどで使われてきました。大型で危険が伴うため、人と隔離した作業スペースが必要でした。近年になって実用化が進んでいるのが、小型で安全性が高く、人と同じ空間で働くことができる協働ロボットです。
協働ロボットの研究開発が活発になった背景には、AI技術、特にディープラーニング(深層学習)が発達し、より柔軟に様々な環境への対応ができるようになったことがあります。さらに、ロボット本体の価格が下がり、決して高い買い物ではなくなってきているのです」
協働ロボットの中には、数年前まで1,000万円ほどだった導入費用が、近年450万円台まで下がっているタイプもある。首都圏でのアルバイトの時給を1,000円、1日12時間勤務、毎日出勤したと試算すると、年間440万円ほどとなるため、1人分の人件費に相当する。人を雇うよりロボットを導入する方が経済的だという未来が、目の前までやってきているのだ。
「もちろん従業員の数を減らしてコスト削減、という話ではありません。人手が足りない部分の作業を、ロボットが引き受けてくれる可能性があるということです」
コネクテッドロボティクス社も、調理ロボットの開発に取り組んでいる理由のひとつに、飲食業界の深刻な人手不足をあげている。代表の沢登氏自身も、かつて外食企業で店舗の立ち上げから運営を手がけてきたことがあり、業界の課題を目の当たりにしていた。