「これからのロボットは、調理オペレーションの革新だけでなく、様々なデータとの連携を考えています。インターネットで繋がって原価、人件費、稼働率、生産力といった数値を連携させれば、合理的な飲食業が実現するでしょう」
たとえば、予約台帳システムなどと連携すれば、客が何時に何人来るから、どれくらいの時間から調理をはじめて、材料はどれくらい必要になるといった計算ができる。顧客データと連携すれば、以前のオーダー履歴から、どんな味付けにすればお客様が喜ぶかをロボットが考える、というサービスも実現するかもしれない。
どのように料理を届けるか?変革を遂げつつある飲食業界
5年後、10年後のそう遠くない将来、飲食店はより合理化していくと考える沢登氏。特に大手チェーン店はファクトリーオートメーション(生産工程の自動化)といわれる工場のような世界が実現してくるのではという。
「飲食業に限らず、人々のライフスタイル自体、今後は大きく変わってきます。テクノロジーの進化で、すでに出前館やUber Eatsなどのデリバリーサービスが発展しています。
デリバリースタッフはそのエリアで手の空いている人を使えばいいし、従来のようにキッチンとホールは必ずしも同じ物件内にある必要はなくなってきました。実際に、オーダーを受けたらシェアキッチンで調理してデリバリースタッフに託す、実店舗のない飲食店、いわゆる『ゴーストレストラン』も登場しています。
作り手の見えない飲食店という進化がある一方で、人間とロボットが協働して調理する様子を目の前で見たいと思うお客様もいるでしょう。たこ焼きロボットはまさにその一例です。飲食業は今、テクノロジーによる変革期に入ってきています。新たな業態の可能性まで含め、飲食店は変わっていくでしょう」
調理ロボットやAIなどのテクノロジーの発達は、単なる作業の負担軽減という話にとどまらない。これからの飲食店の在り方は、人々のライフスタイルや文化、インフラ、テクノロジーまで含めて柔軟に考えていく必要がありそうだ。
取材協力:コネクテッドロボティクス株式会社 沢登哲也氏