AI×ビッグデータ活用は、飲食業でも実用化の段階に
AI(Artificial Intelligence:人工知能)とは、会話や文章作成など、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムだ。一方、ビッグデータとは何か。「実は統一的な定義が決まっているわけではない」という。
AI・ビッグデータを活用するテクノロジーの例 ・フィンテック(金融×テクノロジー) リスク評価や財務分析、株取引の提案など ・アドテック(広告×テクノロジー) ユーザーに最適な広告を表示する機能など ・アグリテック(農業×テクノロジー) 苗の育成に応じた肥料の自動散布など ・HRテック(人事×テクノロジー) 採用や評価の最適な提案など ・Edテック(教育×テクノロジー) オンライン講義や学習管理など ・レストランテック(飲食店×テクノロジー) スマートキッチンやデジタルメニューなど |
「スマートフォンなどを通じた消費者の位置情報や行動履歴、インターネットなどの閲覧や購買行動、あるいは街中の防犯カメラなどあらゆる情報から得られる、文字通りの膨大なデータがビッグデータです。プライバシーの問題もありますが、企業が活用することで需要予測などのマーケティングを効果的に行うことができます。
そして、そんな膨大なデータの分析を、人に代わって行うのがAIです。最近、最新テクノロジーと既存技術を融合させた“○○テック”という言葉をよく聞きませんか? それらには基本的にAIやビッグデータが使われていると考えてよいでしょう」
AIによるビッグデータ分析はすでに飲食業界でも実用化されている。例えばワタミは各店舗で集めた顧客データを使って、優良顧客の誘客に取り組みはじめた。また、すかいらーくホールディングスは顧客の利用履歴などをもとに、来店客1人ひとりにあわせたメニューをタブレットに表示するデジタルメニューを2019年に導入した。スシローでは、ビッグデータで回転寿司の需要を予測することで、廃棄ロスを1/4にまで減らしたという。
「個人の経験やセンスに頼らず、効率的に生産性を向上させる技術として、AI×ビッグデータは注目されています。しかし現時点ではデータの利用が一般化されておらず、大手チェーンなど一部の利用にとどまっています。今後データの流通が進めば、規模の小さな企業であっても活用できるようになってくるでしょう」
これらの技術は、あと5、6年後には他の大手企業が着手して、ある程度いきわたってから中小企業にも広がっていくとみられている。では、その時、中小の飲食店はどのように変わっていくのだろうか?
誰でもハイクオリティな経営が可能に? 飲食店マーケティングの未来
出店計画-「このエリアならこんな店」がロジカルに導かれる
新店舗の立地や業態は、綿密なリサーチによって決まる。経営者自身やエリアマネージャーらが現地調査に出向き、駅の乗降客数やエリアの雰囲気、住人動線や競合店などを調べあげるのが一般的だ。独自の思考を持ち、センスを発揮させるカリスマ的な経営者もいるだろう。