急成長からの急転直下その時とった驚きの方策
肉バル、海鮮居酒屋、クラフトビール店など多彩な68業態、直営70店舗を展開する株式会社Globridge。ほぼ全て別業態で運営し、創業から11年目で既存店過去最高売上を更新している。
しかし、その歴史は順風満帆だったわけではない。創業4年で直営85店舗というスピード出店を達成するものの、5年目には債務超過に陥った。同社代表取締役社長の大塚誠氏がこう振り返る。「当時はもつブームで、もつ鍋屋の単一業態で85店舗を出店しました。ですが、ブームが去り集客は激減…。出店もストップしました」
急成長からの暗転。ここから大塚氏は改革に乗り出し、一度は傾いた会社を見事にV字回復へと導いてゆく。「私が行ったのは大きく2つ。ネットマーケティングと、現場スタッフに業態転換を任せることでした。特に、事業再生の原動力となったのは後者の方です。彼らが自ら考え、決定し、実行させることで現場力を最大化できました。
ただ単に『考えていい、決めていい』では、現場は動けません。そこで、飲食経営のロジックと数字の見方を徹底的に教えました。役割責任については、『店舗の利益を伸ばし続ける』、『アルバイトのメンバーを成長させる』など、彼らのミッションを明確にさせました。
その上で、権限を委譲したのです」これにより、3年間で現在と同規模にまで業態が増え、既存店過去最高売上を達成するまでに復活した。
その間、現場ではトライ&エラーを繰り返しながら、「売上改善」と「原価率(※)改善」の2点を徹底したという。項目だけ見れば新しさはないが、その内容は取り組みやすく、高い効果を得られる。大切なのは、現場スタッフが自ら考え作り出した『生きた』方法だということだ。ここからは、同社第二事業部長、竹内遼氏の話をもとに、「原価率改善」にしぼって具体的な方法をみていこう。
(※)原価率・・・売上げに対して原価が占める割合のこと。飲食店の場合、提供するメニューの原価額(材料費など)÷販売価格×100で算出する。
メニューの出数ではなく、仕入れ額からの原価改善
竹内氏によると、原価率改善には、正確なデータに基づくマネジメントが重要だという。
「原価管理には仕入れ商品ごとの購買データが必要です。弊社は食材の発注にインフォマートの『BtoBプラットフォーム受発注』を活用しており、その発注データを基幹システムと連携させています(図1)」
まず、原価管理について語る際、おさえておきたい数式から(図2)。ご存知の通り、「原価率」とは、実際原価額を売上で割った値である。
その「実際原価額」とは、予定通り食材を使用した場合の理論原価額にロスを加えたものだ。
「一般的に、原価率を下げるには、高原価メニューの出数を減らし、低原価のものを増やせばいいといわれます。ただし、これは理論原価が正しいことが大前提です」