激戦業態で生き残るブランディングには、斜め上の発想が必要
神奈川・丹沢山系東端に位置する大山(通称:阿夫利山)。その山の恵みである湧き水を使い、麓のセントラルキッチンで、らーめん店「AFURI(阿夫利)」のスープは毎日仕込まれる。淡麗系と称される澄み切ったスープに、国産全粒粉とライ麦を配合した細麺が特徴のらーめんは、男女を問わずファンが多い。国内外からの幅広い支持を得て、恵比寿や原宿、新宿、六本木などで東京を代表する人気店として展開している。
近年は訪日外国人客の来店が非常に多く、原宿など観光客の多いエリアの店舗は時間帯によっては9割近くに及ぶこともあるという。とはいえ、開店当初からインバウンドを見込んでいたわけではない。運営するAFURI株式会社の常務取締役平田展崇氏は「ここまでのインバウンド需要の成長は想定外でした。ただただ、ありがたいです」という。
「らーめんやカレーといった日本を代表するカジュアルフードは、メニューの自由度が高く参入障壁も低いです。そのぶん、過当競争が著しい分野で、生き残るために、どの企業も他店との差別化に心をくだいています。
我々もコントラストをはっきりさせるために、立ち位置としてはちょっと斜め上になるような考え方でブランディングしてきました。その方向性がインバウンドにマッチしたものと思われます。
たとえば、国や地域を越えてヴィーガンの裾野が広がり、注目されるようになったのは最近のことです。しかし我々は、海外における著名人のライフスタイルからトレンドの兆しを感じ、かなり以前よりスープから具材まで植物性100%の『彩り野菜のヴィーガンらーめん』を提供しています。
また、看板メニューの『柚子塩らーめん』は、こってりしたとんこつらーめんをヘビーだと感じる外国のお客様にも食べやすいとの声をいただきます。柚子という日本の柑橘類のフレーバーで、ジャパニーズカルチャーを感じられる点も喜ばれています」