外食ビジネスは国策へ。食団連が描く2026年「食産業庁」構想

セミナー・イベントレポート2026.02.03

外食ビジネスは国策へ。食団連が描く2026年「食産業庁」構想

2026.02.03

外食ビジネスは国策へ。食団連が描く2026年「食産業庁」構想

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一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)の専務理事・高橋英樹氏は、1月に開催された居酒屋JAPAN内のセミナーで、飲食業を次世代に継承する策を示した。

人材不足、他業種より割高なクレジットカード手数料率、食料品の消費税撤廃問題といった喫緊の課題を打開するために掲げられたのが、省庁横断で外食産業を支援する「食産業庁」の設立構想である。店舗個別の経営努力ではなく「制度」として解決を模索する食団連の動きは、すべての飲食経営者が注視すべき新たな局面を迎えている。

目次

飲食業界の構造改革~5つの省庁にまたがる縦割りを打破せよ

現在、日本の飲食業界(外食産業)を管轄する官庁は多岐にわたっている。

●厚生労働省~営業許可や衛生管理、雇用・労働環境
●経済産業省~IT導入補助金や事業再構築、DX支援
●農林水産省~食材調達、食料安全保障
●文部科学省~調理師育成、食文化の継承
●国土交通省~観光・ガストロノミーツーリズム

このように窓口が分散している現状は、緊急時の支援策において致命的な遅れや矛盾を生んできた。食団連が目指すのは、業界団体としての「お願い(陳情)」に留まる活動ではない。食産業庁という省庁を創設することで、「外食業法」などの法律を作り、専用の国家予算を確保・配分し、法的強制力を持ってルールを策定できる体制の構築である。

2026年までのロードマップ~6月が勝負

政策を動かすには、国の予算編成スケジュールに食い込む必要がある。高橋氏は、2026年に向けた具体的な戦略として、毎年6月に閣議決定される「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」への文言採用を最重要ターゲットに据えている。

●3~4月:各関係省庁や議員連盟へのロビー活動を強化
●6月:骨太の方針に「食産業を基幹産業として振興する」旨の記述を盛り込む
●12月:翌年度の予算獲得、税制改正の決着

2026年6月の骨太の方針に「食産業庁を検討する」といった文言を一行でも入れられるかどうかが、翌年の補助金や減税措置の規模を決定づける分かれ道となる。

外食産業が直面する「5つの重要課題」への処方箋

食団連は現在、個別の経営努力では解決が難しい以下の5つのイシューを最優先事項として掲げ、団体の力による制度変更を模索している。

●クレジットカード手数料率の引き下げ
日本の外食業界のクレジットカード手数料率は平均3.1%と、諸外国や国内の他業種と比較しても高い。キャッシュレス推進に向けた時限的な補助(手数料補填)や、国際ブランドへの交渉を通じ、実質的なコスト削減を求める。

●ノロウイルスによる営業停止基準のルール統一
食中毒と感染症の境界線が曖昧なノロウイルス感染症において自治体ごとに異なる営業停止基準や実名公表を是正。保健所の運用マニュアルを全国統一し、不当な風評被害を防止する。

●労働時間制限と修行の両立
働き方改革の進展に伴い、調理技術の習得を望む料理人の研鑽までもが労働時間として制限されるジレンマが生じている。意欲ある労働者が自らの意思で技術を学べる個人事業主化や国家資格によるキャリアパスの明確化といった代替案を検討する。

●コロナ融資(ゼロゼロ融資)の債務整理
累積した債務に対し、返済猶予の延長や、条件付きの一部免除、劣後ローンへの転換など、事業継続を前提とした資金繰り支援の継続を財務省に働きかけている。

●食品消費税「ゼロ」化への議論
2026年2月の衆院選で各党が公約に掲げている食料品消費税ゼロ案について、外食のイートインを含めた包括的な適用を検討。弁当・総菜など内食・中食(8%から0%へ)と外食(10%)の不平等を解消し、消費者の外食利用を喚起する抜本的な策を議論の遡上に載せている。

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