40年来の対照的な経営スタイル
共に1985年に創業し、関西から全国、そして世界へと版図を広げてきた両社だが、互いの評価は対照的だ。トリドールの粟田氏は、大倉氏を「外食業界で一番の人格者であり、軸がブレない人物」と評する。大倉氏が参加する飲食店経営者向けの勉強会「太陽の会」などを通じた大倉氏の情報収集力と人望の厚さに、粟田氏は全幅の信頼を置いている。
一方、大倉氏は粟田氏を「スピードと行動力の人」と分析する。粟田氏は、過去に多くの業態開発や海外進出で失敗も経験したと語るが、大倉氏はその「失敗を恐れずに行動する姿勢」こそが成功の要因であり、連絡に対するレスポンスの速さも経営スピードに直結していると指摘した。
対照的なスタイルを持つ二人が、共通して危機感を抱いているのが、外食産業の人材確保と地位向上である。
「店長年収2,000万円」構想――現場に内発的動機を
業界が直面する人手不足と労働環境の課題に対し、トリドール粟田氏は内発的動機の重要性を強調した。粟田氏は、ベストセラー『ハート・オブ・ビジネス』を引き合いに出し、金銭的なインセンティブ(外発的動機)だけでは人は動き続けないと指摘。仕事そのものや店が好きだという感情、すなわち「内発的動機」を高めることが、企業の生命線を握るという。
その上で粟田氏が提示した具体的なビジョンが、「店長年収2,000万円」の実現だ。従来の外食産業のキャリアパスでは、現場で成果を上げた優秀な人材ほど、昇給のために店舗を離れ、本部管理職や経営幹部にならざるを得なかった。しかし、顧客と接する現場こそが好きな人材も多い。粟田氏は「現場を離れずに高い報酬を得られる道を作るべきだ」と提唱する。店長職のまま高収入を得られる制度を作ることで、「店が好き、仕事が好き」という内発的動機を持つ高度人材が、現場で輝き続けられる環境を作る。これが「選ばれる業界」への粟田氏の回答だ。











