外食産業の未来像を探る~ロイヤルHDとイートアンドが語る変革の核心

セミナー・イベントレポート2026.02.27

外食産業の未来像を探る~ロイヤルHDとイートアンドが語る変革の核心

2026.02.27

外食産業の未来像を探る~ロイヤルHDとイートアンドが語る変革の核心

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東京ビッグサイトで開催されたHCJ2026のセミナーにて、激変する外食産業の生き残り策が提示された。消費行動の定着や人手不足といった課題に対し、ロイヤルホールディングスとイートアンドの経営幹部が、ビジネスモデルの再構築について語った。本稿では、製造業としての強みの発揮やテクノロジーによる付加価値創造、そして高品質なホスピタリティへの回帰を軸に、両社が実践する変革の核心を報告する。現場の知恵を共有し、次代の経営戦略を模索する。

目次

製造と外食の「両輪経営」が拓く職人技術のシステム化

イートアンドホールディングス取締役 兼 イートアンドインターナショナル 代表取締役社長 植月 剛 氏

イートアンドグループは、1969年の創業以来、大阪王将を中心に歩んできましたが、現在は自らを食品メーカーであると定義しています。私たちのビジネスモデルの根幹は、外食事業と冷凍食品の製造販売という二つの事業を両立させる両輪経営にあります。以前は売上比率が半々でしたが、パンデミックの影響もあり、現在は冷凍食品を中心とした食品販売事業が全体の60パーセント以上を占めるまでになりました。

当社の強みは、外食店舗で評価された味を即座に凍らせて製品化し、一般の流通に乗せるというシナジーにあります。製造拠点についても戦略的な投資を続けており、現在は北海道から沖縄まで全国5か所に工場を展開しています。さらに、2026年には宮崎県に6番目となる新工場の設立を予定しています。物流コストが高騰する中で、30から40件の提携農家を抱える産地に近接した場所に工場を設けることで、鮮度の高い食材を効率的に加工する体制を整えているのです。

これまで100近いブランドを立ち上げては失敗し、その中で生き残った現在の約10ブランドが私たちの収益を支えています。特に、職人の技術をシステム化したアイロボという調理ロボットの導入は、現場に大きな変化をもたらしました。これは熟練の職人の煽りや火加減をコンピューターで完全にコピーしたもので、導入店ではこれまで職人3人で行っていた体制を、職人1人とロボット1台の組み合わせへと再構築できました。

店長が朝から晩まで鍋を振り続ける重労働から解放されたことで、何が変わったか。それは、店長が積極的にお客様のもとへ行き、コミュニケーションを図ったり、トイレの清掃や細かなマネジメントに時間を割けるようになったことです。テクノロジーの導入は単なる効率化ではなく、本来外食が担うべき、人間同士の触れ合いを創出するための手段なのです。

ブランド価値の再定義と「質」への集中投資がもたらす革新

ロイヤルホールディングス 専務執行役員 佐々木 徳久 氏

ロイヤルグループは、1951年の創業以来、一貫してお客様に高品質な価値を提供することに努めてきました。私たちは1970年の大阪万博で日本初のセントラルキッチンを導入し、冷凍食材を活用した多店舗展開の礎を築きましたが、2010年頃にはブランドのコアバリューを再定義する必要に迫られました。

そこで私たちが断行したのは、売上至上主義からの脱却です。具体的には、24時間営業の廃止と全席禁煙化を決めました。例えば渋谷の道玄坂店のように、深夜帯や喫煙需要が売上の40パーセントを占めていた店舗もあり、当時は社内でも大きな議論がありました。しかし、従業員の負担を減らし、本当にお客様に喜んでいただけるホスピタリティを提供するためには、この撤退は不可欠でした。

結果として、深夜の滞留客に代わり、買い物帰りの親子連れなどが訪れるようになり、客層が劇的に改善しました。ブレイクスルーを実現するには、既存の延長線上ではなく、何かを犠牲にしてでも質を追求する勇気が必要であることを実感しています。私たちは過去15年間で、既存店舗のリニューアルに約300億円もの投資を続けてきました。1店舗あたり平均5,000万円をかけ、10年周期で全ての店舗を刷新し続けることで、ロイヤルホストの平均客単価は以前の1,200円程度から、現在は2,000円をうかがう水準まで向上しています。

私たちの考えるDXとは、人を単純な作業から解放し、新しい価値を創造することです。自動洗米機やキャッシュレス決済の導入により、事務作業を極限まで減らしました。そうして生まれた時間は、スタッフがお客様ときちんと向き合うための時間になります。働く側が誇りを持てる環境を整えることが、結果として素晴らしい顧客体験に繋がると確信しています。

日本飲食団体連合会 専務理事 高橋 英樹 氏

お二人の話から共通して見えてくるのは、テクノロジーが進化するからこそ、対極にある人間によるおもてなしの価値がより際立つということです。お腹を満たすだけであれば他の手段も増えていますが、わざわざお店に足を運ぶ価値とは、心の豊かさを感じていただくことに他なりません。これからの10年、外食産業が担うべき使命は、食事を通じたコミュニケーションの創造であり、心を満たす産業としての進化ではないでしょうか。

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