なぜ労働基準法の改正が必要になっているのか
昨今の時代背景を踏まえて、1987年以来、約40年ぶりに働き方のルールが現代の実態に合わせて抜本的に見直されるという動きがある。主に以下のような現状があるからだ。
- これまでの労働基準法は「1つの会社にフルタイムで雇われて働く」ことが前提
- テレワークや副業、フリーランスなどの急増で法律と実態のズレが生じている
- 長時間労働や連続勤務による健康被害が拡大
- 深刻な人手不足と多様化によって働き手が職場を選ぶ時代へと移行
ここ最近の事例を挙げると、少子高齢化による働き手の減少、コロナ禍による影響で働き方の多様化などが進んできた。労働基準法もこうした社会環境の変化に対応していかなければならない事態となっているのだ。
労働基準法改正の時期と今後の見通し
労働基準法の改正は、2025年1月に公表された厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」の報告書に沿って検討されてきた。元々は、新しい時代を見据えた労働基準法に関する課題を整理する目的として「新しい時代の働き方に関する研究会」が2023年3月に開催され、その後同年10月に報告書が取りまとめられている。
その後、様々な議論を経て、2026年の通常国会で法案が提出されるとの見方があったが、2025年12月の厚生労働大臣の会見により先送りになった。
(参考:厚生労働省「上野大臣会見概要」)
今後の見通しとしては、毎年1月に通常国会で多くの法案が提出されること、法案の成立・公布から施行まで6ヶ月~数年の期間があることを考えると、法改正は2027年以降であり、規模の大きさから段階的な施行になることが予想される。
しかし政権や国会の動向次第では大きく変動する可能性があるため、できる限り情報収集しておくことが重要といえるだろう。
法改正で経営者が知っておくべき7つのポイント
厚生労働省による「労働基準関係法制研究会」の報告書によると、主に以下のような内容が検討されている。
| 改正項目 | 現行の制度 | 改正案 |
|---|---|---|
| 連続勤務の上限規制 | 変形休日制で最大48日連続勤務が可能 | 14日以上の連続勤務を禁止 |
| 法定休日の特定を義務化 | 就業規則等による特定は任意 | 特定の休日(曜日)を明記しなければならない |
| 勤務間インターバル制度 | 努力義務 | 原則11時間以上の休息を義務化と段階的な施行など |
| 休日・夜間の業務連絡を制限 | 明確な規定なし | ガイドラインによる対応(義務化ではない) |
| 週44時間特例措置の廃止 | 10人未満の特定業種は週44時間OK | 実態に応じて週40時間に統一 |
| 副業・兼業者の割増賃金ルール見直し | 複数企業の労働時間を通算 | 労働時間の通算は維持、割増陳儀の通算は条件に応じて不要 |
| フレックスタイム制度の見直し | 1日のみといった限定的な適用はできない | 部分的なフレックスタイム制の導入 |
多くの企業に影響するこの7つのポイントに絞って解説していく。










