価格改定にともない、アルバイトの時給はその月から基本給が1050円から1200円にアップした(東京の場合)。社員も、家族手当や住居手当といった福利厚生を充実させ、条件によっては年収が50~100万近くあがった。
待遇改善によって離職率が下がり、人手不足は改善され、現在では従業員の月の残業時間の平均は10時間ほどだという。らーめん業態では奇跡といわれるほどの削減に成功している。
「値上げによって、お客様の数は5~10%あまり減りました。しかしそれは、半ば意図したことでもあります。1人あたりのお客様へ注ぐマンパワーがそのぶん増やせるので、接客も丁寧になりサービスレベルをあげることができるのです。実際に、客数は減っても売上は伸びています。
らーめん業態という、滞在時間10数分ほどの刹那的なご利用の中で、お客様のハートをいかにキャッチするか。全部は完璧にできなくてもいいから、お見送りだけはスタッフを1人増やしてでも、必ず誰かがきちんとお送りしようなど、AFURIとしてどうすれば正解なのか、日々模索しています。お客様との顔の見えるコミュニケーションへ時間を割けるよう、事務作業はシステムを使って効率化を図っているのもそのひとつです。
たとえば食材の発注は『BtoBプラットフォーム受発注』を利用しています。時間短縮だけでなく、仕入れ額を明確にデータ化することで、厳密な原価管理が可能になりました。また、『メニュー管理機能』の活用で、メニューごとに理論原価と実原価の2つの指標を出して管理しています。ラーメン屋だから言うわけではないですが、それまでのザル状態のどんぶり勘定から脱却することができました(笑)」
豊かな自然の恵みをベースに、愛し愛される店として
インバウンド需要は2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向けますます高まりをみせている。訪日外国人からの評価も高いAFURIは、新規オープンする商業施設などからのオファーが引きもきらない状態だという。
「我々は、これまで出店した店舗を1軒も閉めたことがありません。これからもそのつもりですので、新規出店は相手を選ぶというか、慎重になります。前述の三方よしを成立させるためには当然ある程度売上の見込める店舗が必要ですが、そればかりだと商業主義的なブランドになってしまいます。やはり水と緑、自然への畏敬がAFURIのコンセプトにあるので、そのバランスは大事にしたいです。
そこをご理解いただけるデベロッパーさんとは、相思相愛でやっていけるでしょう。愛したいし愛されたいというのが根底です。従業員に対してもそうだし、お客様に対しても、もっといえば食材を提供してくださる生産者のみなさんにも愛を持って接したいし、愛していただけるような関係性でいたいと思っています」
AFURI(AFURI株式会社)
住所:東京都目黒区上目黒1-18-6 NMビル4F
お話:常務取締役 平田 展崇 氏
公式HP:https://afuri.com/