「余計なことはしない」ブレない理念で急成長
【Q】いま「肉汁餃子製作所ダンダダン酒場」(以下ダンダダン)を主体に展開されていますね。
2011年にダンダダンの1号店をオープンするまでは、餃子以外の業態を4店舗ほどやっていました。今もその店舗はありますが、もう業態としては、ダンダダンしか増やすつもりはありません。(取締役副社長 田中竜也(以下田中氏))
ダンダダンはコンセプトも「餃子とビールは文化です」といたってシンプルで、メニューの内容もオープン時からほとんど変えていません。もちろん多少のブラッシュアップはありますが、メニューを変えたり増やしたりすることは、なるべくしないようにしているのです。(代表取締役社長 井石裕二(以下井石氏))
【Q】業態をしぼり、メニューも変えない理由は何ですか?
メニューを変えるのは簡単です。しかし、あえてメニューを変えないことで、できることもあります。たとえばサラダの盛り付け方ひとつでも、美味しそうに見える盛り方を、葉っぱ一枚の向きにもこだわって突き詰めていくことができます。
そうやってなるべくメニューをしぼっておけば、調理のノウハウも蓄積され、美味しさも増していきます。ところが頻繁にメニューを変えてしまうと、せっかく覚えたものもまた最初からやり直しになってしまい、料理自体もどんどん薄っぺらくなっていく気がするのです。
またメニューを開発するにしても、他が真似できないものにするためには、その商品のことをずっと考え続けて、魂のこもったものにしなければなりません。
ですから、ただ流行っているからという理由で新しいメニューを取り入れるようなことはしませんし、もし入れるなら、それが10年後にも必要なメニューなのかどうかまで考えます。
業態をダンダダンにしぼっているのも同様の理由です。店のことに集中したいので、“やらなくていいことはやらない”を大事にしています。(井石氏)
【Q】具体的に、どういうことでしょうか?
会社として手間ひまをかけたいのは人材育成です。いい店をつくるにはいい人材が必要です。そこに集中し、労力を費やすためには、そもそも余計なことをする暇はありません。