那覇市国際通りから多業種多店舗を展開
【Q】飲食店やホテルなど様々な事業をされていますね。
店舗管理部 課長 古賀新介氏(以下、古賀課長):当社は沖縄文化の価値を高め県内外に発信することを目的に、外食をはじめホテル、ブライダル、食品製造販売、海外貿易、コンテンツ事業を展開しています。
主力の外食事業では沖縄料理の居酒屋をはじめ直営20店舗、FC6店舗、ホテル事業ではリゾートホテルとビジネスホテルの2棟を運営しています。
仕入れ方法をIT化し請求金額を自動計算
【Q】事務作業のDXにも注力されています。
古賀課長:本部や現場が経理処理する納品書や請求書などの伝票は相当な数です。当社では管理の煩雑の解消を見越し、バックヤードのDXを進めています。
2007年にインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入して、発注方法をFAXからインターネットを使ったシステムでの発注に切り替えました。現在インフォマートで受発注している取引先は毎月70件ほどで、約5000枚の発注・納品・請求伝票の金額を自動照合しています。
これをすべて紙の伝票で作業することを考えると、本当にぞっとします(笑)。その数の伝票をパソコン1台で処理できることがバックヤードDXの最大の利点だと思います。
国際通り統括 中島大介氏(以下、中島統括):『BtoBプラットフォーム 受発注』によって仕入れ業務のIT化が完備されて、本部と現場の両方で金額集計や照合作業に苦しめられたことはありません。
また、発注作業はパソコンで商品や納品日を選ぶだけなので、各店舗の社員だけでなくアルバイトスタッフでもできます。私は前職も飲食業でしたが、FAX発注で起きていた仕入れ品が納品されない、過去の伝票をひっくり返して見直す、FAXした内容を電話で確認するといった飲食業に携わるすべての方たち共通の悩みから解放されました。
古賀課長:私は主に本部機能を使って、現場の仕入確認をしています。各店舗の仕入状況の把握はもちろん、過剰仕入がないか、金額が極端に高いものがないかなどをチェックし、本社全体の購買管理をしています。
『BtoBプラットフォーム受発注』の日次合計表で、各店舗の納品日ごとに仕入金額が表示されます。その際、あらかじめ設定した枠を超えた仕入れ額などは異常値として表示される設定にしています。そうしたデータを基に各店舗に指導しているのです。
その他にも、全店舗の仕入れ品を統一しやすいというメリットもあります。飲食業では本部が「調味料はこれを使うように」という指示を出しても、店舗によっては別の商品を常用するケースがあります。当社では、本部がシステム画面上で店舗の仕入れ品を登録・削除しているため、本部で決めた食材以外は発注できないようになっています。
【Q】経理部ではどのように使用されていますか?
古賀課長:『BtoBプラットフォーム受発注』から仕入れの買掛情報をCSVデータとしてダウンロードし、会計ソフトにそのまま取り込んでいます。これまでは経理ソフトへの手入力、科目の仕分け作業が大きな課題だったのですが、CSV連携したことでスムーズに経理処理できました。
その過程で、一定期間使っていない仕入れ品のマスタ情報を自動削除するよう設定しました。科目の自動仕分けができているため、データの微調整をするだけで経理業務は完了します。こうした作業もオプション費用がかからないため、今後、基幹システムなどのソフトウェアのアップデートにも対応できると安心しています。
メニューごとの原価計算を1クリックで完結
【Q】メニューごとの原価計算にも使われていますね。
中島統括:より正確かつ迅速に原価管理する目的で、『BtoBプラットフォーム受発注』メニュー管理機能を使っています。これまでの原価計算方法はメニューごとに調理手順などを記載した仕様書と呼ばれるものをエクセルで作成し、各店舗に共有していました。
仕様書には肉や野菜など使用食材の数量や金額を手入力で細かく入力していました。しかし、食材価格は時期によっても業者ごとにも変わります。そのたびに仕様書の金額を変更していかなくてはいけません。ところが1つ1つ修正していく余裕などありません。さらに、更新していくうちに換算値の入力が間違っていたということもありました。必然的に誰も仕様書を触らなくなり、古いデータのままになっていたのです。
加えて当社では観光客向け店舗や地元客向け店舗など複数業態を展開してメニュー構成が多様なうえ、季節ごとにもメニューを変えています。こうした背景でますます原価計算が難しい状況に陥っていました。
そのため、ITシステムを使ってボタン1クリックで最新の原価を自動計算するようにしたのです。全社で1000を超えるメニューがありますが、中にはそれまで自分が認識していたエクセルの原価率と実際の値の違いがすぐに見つけられることに驚きました。
DX化の先に見据えるもの
【Q】現在もバックヤードのDXを図っているようですね。
古賀課長:発注作業は簡易化し、棚卸も正確に管理できるようになりました。懸案だった会計ソフトへのデータ連携もできるようになりました。こうした一連のDX化で、われわれが本来やりたかったこと、やらなくてはいけないことが明確に見えてきたのです。
普段から社内で語られることですが、「バックヤードの仕事はデジタルに。接客はアナログに」という意識が、接客業においては大切です。今後さらに、このスタンスを推し進めていきたいです。
中島統括:実際に店舗を見ていると、責任者はバックヤードでなく表に立つことが大事だと思います。現場に立って、お客様の顔を見て、コミュニケーションをとり、最後に「また来るよ」と言われること。これが現場責任者の第一義です。その時間を作るためにDXをさらに推進しながら、自分たちは何を実現するかという視点を忘れずに持っていたいと思います。
株式会社ジェイシーシー
本社所在地:沖縄県糸満市西崎町4-16-16
設立: 1993年3月31日
代表者:代表取締役社長 渕辺 俊紀
公式ホームページ:https://jcc-okinawa.net/