法令対策2016.11.30

知っておきたい食品リコール(後編)~事故事例からみた回収コストと周知方法

2016.11.30

「東京都の自主回収報告制度では、自主回収の終了について『特定事業者が把握している納入先から回収し、所定の場所への保管を確認した時点』と定めています。ただしこれは食品以外も含む回収の話です。食品に関しては賞味・消費期限のように、正しく使用できる期間があらかじめ定められているため、その期間を回収終了の目安にしている企業が多いですね。回収終了まで短い場合で1週間程度、長い場合は1年ほど掛かるケースもあります」

自主回収の終了報告書の提出を義務付けている自治体も多く、その場合は指定の報告書に回収した商品の数量や回収率、再発防止のために講じた措置、回収した商品の保管場所、処分方法などを明記する必要もある。

回収コストの種類と総額~過去の事例より

商品回収に掛かるコストについては、商品回収で発生した各種費用を補償する『生産物品質保険』を扱う大手損保会社の営業担当者が説明してくれた。

「商品回収で発生する費用は、『電話・宅配などによる郵送・通信費』『事故についての調査費用』『社告掲載料』『回収した製品の再製造費用や代替品の製造原価』『回収した製品の一時保管・廃棄費用』などがあります。多くの場合、回収そのものに掛かる費用以上に、社告などその他の付随費用が高額化する傾向にあります」

社告の掲載料の目安は以下の通りである。

「社会面2段・10センチ程度の社告で掛かる費用の参考値としては、全国紙400万円~、ブロック紙60万~120万円、地方紙40万円~60万円。主要5紙への掲載で2000万円以上の費用が掛かることもあります」

この損保会社が扱った過去の事故例から、実際に食品回収の費用総額がどれくらいになったのかを見てみよう。

事例1:『製品を自主検査したところ、継続的に摂取した場合に、人体に悪影響を及ぼす物質が混入していることが判明したため、地方紙と全国紙に社告を掲載、自主回収を行った』
⇒社告、対象商品の回収で総額1550万円

事例2:『販売会社に納入した製品に、賞味期限の印字ミスが発見され、全国紙および地方紙に回収社告を掲載した』
⇒社告、その他の回収費用で総額3200万円

事例3:『製造工程で商品に使用が許可されていない成分が混入していたことが判明し、保健所から回収命令が出された』
⇒社告、対象商品の回収、廃棄費用などで総額1億2000万円

「中小規模の法人様であれば、大半が数十万円~1000万円で収まると思われますが、大企業となると被害規模が大きくなる分、数百万円~数千万円、場合によっては数億円掛かる場合があります」


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