集計して分かった、食品事故の理由1位は?(2016年1月・2月)

法令対策2016.03.24

集計して分かった、食品事故の理由1位は?(2016年1月・2月)

2016.03.24

<その他(不正転売)を除いた 事故理由、食品分類の傾向>

放射能基準、農薬基準、微生物基準の違反などの『品質不良』(31%)が1位となりました。しかし、ここで注目したいのが、表示に関する事故の多さです。『賞味期限不正表示』(29%)『アレルギー不正表示』(16%)『その他の不正表示』(9%)といった表示の事故が、全体の54%を占めています。中でも、アレルギー表示の事故は、人の命にもかかわる重大な事態を引き起こしかねないため、今後も一層の情報管理が必要です。

表示については、2015年4月に施行された『食品表示法』を受け、表示レイアウトやアレルギー表示ルールの改善などルールが変更されています。特に「個別表示」と「一括表示」など、アレルギーの表示の仕方も変更が出ていますので、製造(メーカー)の方は情報をご確認ください。(参考: 「食品表示基準でここまで変わる」

さらに、2016年4月より改正景品表示法に照らし合わせて、「優良誤認表示」「有利誤認表示」に該当すると判断された商品やサービスを対象に、売上額の3%を徴収する『課徴金制度』が始まります。これは製造者(メーカー)だけでなく、ホテルやレストランなど外食事業者も対象になります。外食事業者は、原材料の管理だけでなく、メニューの表記にも注意が必要です。(参考: 「改正景品表示法の課徴金制度が4月に開始」

前述の通り、徐々に消費者の食の安全・安心を確保する法律が整備されつつありますが、意図しない「不正表示」による事故は後を絶ちません。消費者庁による表示への指導の件数(指導、指示、命令)は2015年上半期(4月~9月)だけで145件に上り、そのうち144件は、“常習性がなく過失による一時的なもの”、つまり意図しない表示ミスと判断されています。これは正しく情報を管理できていれば、回避できる事故、ともいえます。

最後に、最近起こった事故の具体例を挙げさせていただきます。今後の適切な情報収集と、正確な『表示』作成や、自社のリスク管理に役立てていただければ幸いです。

2016年1-2月:食品事故の具体例

1位 その他

食品分類品目内容
調理食品ビーフカツ本来廃棄処理されたはずの商品が廃棄業者によって不正流通した
調味料及びスープだし入り調味料本来廃棄処理されたはずの商品が廃棄業者によって不正流通した
畜産加工品豚バラ蒲焼き本来廃棄処理されたはずの商品が廃棄業者によって不正流通した

2位 品質不良

食品分類品目内容
水産加工品いわし団子高濃度のヒスタミンが検出され、食中毒の可能性
畜産加工品豚肉加工・販売された豚肉の一部に、賞味期限切れの原体が使用されていた
飲料等ミネラルウォーター一部商品から、基準値を超える臭素酸を検出
農産加工品銀杏冷凍商品から、基準値を超えた細菌を検出
水産加工品はんぺん一部商品から大腸菌群が発生
調味料及びスープココナッツオイル一部商品からカビが発生

3位 賞味期限不正表示

食品分類品目内容
調理食品チゲ鍋消費期限を「16.1.7 午前3時」とすべきところ、「16.1.9 午前3時」と2日長く誤表記
農産加工品きな粉賞味期限を「16.07.10」とすべきところ「17.07.10」と1年長く誤表記
水産加工品あさり加工品一部商品から、賞味期限「16.7.1」の表記が欠落
菓子類ピーナッツバター賞味期限を改ざんしたとして、消費者庁から改善指示
調味料及びスープ液体調味料一部商品の賞味期限を「16.10.13」とすべきところ、「17.10.15」と誤表記

4位 アレルギー不正表示

食品分類品目内容
農産加工品とろろアレルギー物質「小麦」「大豆」の表示が欠落
水産加工品塩辛アレルギー物質「小麦」と、添加物「ソルビット」の表示が欠落
菓子類チョコ菓子4商品に「乳」の表示が欠落
調理食品コロッケ商品名の貼り間違えで、アレルギー表示のない「乳」が混入
調味料及びスープ和風だし一部商品に「小麦」の表示が欠落

5位 異物混入

食品分類品目内容
畜産加工品豚肉3商品に機械の刃の破片が混入した恐れ
菓子類ソフトキャンディ一部商品に白色プラスチック片の混入が判明
菓子類豆菓子一部商品に虫が混入した可能性

6位 その他不正表示

食品分類品目内容
畜産加工品牛肉宮崎県産黒毛和牛に「宮崎牛」と、銘柄を誤表記
農産加工品米など精米やつゆなど計6商品で、名称・原材料を誤表記
水産加工品カットわかめ外国産原料のカットわかめに「鳴門産」 と、産地を誤表記

7位 包装不良

食品分類品目内容
菓子類ゼリー菓子包装の一部が破れ、液漏れによるカビが発生
菓子類チョコ菓子包装不良(ピンホール:包装フィルムに微細な穴が開いた状態)で、カビが発生
調理食品レトルト鍋一部包装資材の密封の欠損があり、時間経過と共に商品が劣化する可能性

 

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