2023年の飲食店・飲食業の倒産数が過去最多を更新
2023年の飲食店・飲食業の倒産数が過去最多となった。東京商工リサーチの調査によると、2023年(1~12月)の飲食業の倒産は893件で前年同期比は71%増であり、倒産数が急増した2020年の842件を上回った。
業種別での倒産数の最多は、中華料理店やラーメン店などの「専門料理店」の203件。次に「食堂、レストラン」が203件、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」の176件と続き、ほぼ全業種で増加している。
倒産の増加率では、「持ち帰り飲食サービス業」が55件で前年同期比175%増と一番高く、「宅配飲食サービス業」が97%増と続いた。これは、コロナ禍によって需要が増加した持ち帰り・宅配系の新規サービスの需要が減少しただけでなく、5類移行により飲食店を利用する人が増えたことが理由だといえる。
都道府県別で見ると、増加が37都道府県、減少8県、同数が2県であった。都道府県別に見ても、倒産数は全体的に増加傾向にあることがわかる。
都道府県別で見ると、2023年は47都道府県中34都道府県で飲食店・飲食業の倒産数が増加している。
飲食店・飲食業の倒産数が増えている理由は?
飲食店・飲食業の倒産数が増えている理由には、以下の3つが挙げられる。
- ゼロゼロ融資後の倒産
- 物価高による倒産
- 人手不足による倒産
ゼロゼロ融資後の飲食店の倒産
実質無利子・無担保融資「ゼロゼロ融資」利用後の2023年の倒産数は、全業界で631件、うち飲食店は84件、飲食料品卸売業は27件となり、業種分類別で最多となった。
飲食店の倒産については、コロナ禍の業況不振で財務内容が悪化したところへ追い打ちをかけるように食材費や人件費、光熱費が上昇。コスト増による倒産が多くみられる。
産業別では、飲食店を含む「サービス業他」は221件(前年同月比67.42%増)で最多であり、構成比は約35%を占めている。
物価高による飲食店の倒産
2023年の物価高を起因とした全業界での倒産は645件で、前年同月比は126.3%増であった。
11月1日に1ドル151円台になったあとも円安が続いており、飲食店・飲食業では原材料や電気などの価格上昇が大きな負担となっている。また、アフターコロナの需要高により、仕入れ額増も理由の一つといえるだろう。
産業別では、飲食企業が属するサービス業他では94件、前年同期比で308.69%と大幅増になっている。業種別では、食料品製造業が47件、飲食店が45件、飲食料品小売業が24件、飲食料品卸売業20件と食品関係が上位を占める形となった。
人手不足による飲食店の倒産
2023年の全業界の「人手不足」関連倒産は158件(前年同期比154.8%増)であった。
要因別では、人件費高騰が158件と前年同期比で154.8%、前年の8.4倍に大幅増加。求人難も58件で前年同期比114.8%、2.1倍に増加した。
東京商工リサーチが実施したアンケート調査では、2024年に賃上げを実施予定と回答した企業は8割(構成比82.9%)に達したが、物価上昇が企業収益を圧迫しているなかで、更なる賃上げに二の足を踏む企業も多い。
産業別では、サービス業他の55件が最多であった。このうち、飲食業は前年5件から16件に増加している。
2022年度の居酒屋業態の売上は前期比5割増
「酒場、ビヤホール(居酒屋)」を運営する2022年度(2022年4月~2023年3月)の売上高合計は5,649億4,800万円で前年度比56.5%増であった。全体での最終的な利益は赤字ではあったが、売上高合計はコロナ禍初期の2020年度を上回って回復傾向にあるといえる。
また、2022年度の増収事業者は245社で全体の7割を超える。一方、増益は168社であり、前年度と比較して22.9%減少している。アフターコロナにより客足が増え、居酒屋の売上は上昇傾向にある一方で、物価高や人件費高騰などの深刻なコスト上昇が利益を圧迫しているといえる。
DXで飲食店の利益管理を徹底する
2023年は新型コロナウイルスが第5類に移行になったり、ゼロゼロ融資の返済が始まったり、と苦労している飲食店も多いことだろう。さらに、人手不足、物価高の問題が追い打ちをかけ、飲食店・飲食企業の倒産数は過去最多を更新した。
自社の飲食店を閉店させないためには、これまで以上に原価、売上・利益や棚卸しの管理が重要となる。例えば、『BtoBプラットフォーム 受発注』は、飲食店の発注業務や請求業務をDXすることで管理や分析が容易になる。自店舗の倒産対策として、このようなサービスの活用も検討しよう。