外食アワード2023授賞式・20周年特別賞受賞者コメント~際、グローバルダイニング、ゼットンほか

セミナー・イベントレポート2024.02.13

外食アワード2023授賞式・20周年特別賞受賞者コメント~際、グローバルダイニング、ゼットンほか

2024.02.13

外食アワード2023授賞式・20周年特別賞受賞者コメント~際、グローバルダイニング、ゼットンほか

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2024年1月、外食産業記者会は20回目の節目を迎える外食アワード2023・20周年特別賞の授賞式を開催した。同賞は外食業界で活躍した人に贈られる。

今回の受賞者は、外食アワード20周年特別賞2名、2023年賞で外食事業者2名、中間流通・外食支援事業者部門2名、食材事業者1名の計7名となった。それぞれの受賞理由と受賞者のコメントを紹介する。

目次

外食アワード20周年特別賞

際コーポレーション株式会社 代表取締役 中島武氏

中国地方料理をテーマにアートな感覚で飲食業に革新をもたらす 

中島氏は、1990年に42歳で際コーポレーションを設立。創業当初から中国地方料理をはじめ伝統料理をベースとした「紅虎餃子房」や「万豚記」など、アートな感覚を取り入れた飲食店を展開。近年はとんかつ「富士㐂」、うなぎ「にょろ助」などを通じて、伝統的な業種業態の活性化にも取り組んでいる。コロナ禍においては、都知事宛てに対象を大企業まで拡げた協力金の提供を求める要望書を提出するなど、飲食業界全体の発展に向けた努力を続けている。

「長きにわたり営んできた飲食業で賞をいただき、本当に嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。食への愛を原動力にして、これまでずっと情熱を注いできました。

これからも日本の食文化に貢献し、その魅力を世界に広く発信していきたいと考えています。皆様には安心してお食事を楽しんでいただけるよう、これからも精進してまいります」

株式会社グローバルダイニング 代表取締役社長 長谷川耕造氏

コロナ禍で魅力再認識、大幅売上増の大箱エンターテイメントレストラン 

グローバルダイニングは大箱を活かした斬新なアプローチで店舗展開し、エンターテイメントレストランの先駆者となった。その魅力に惹かれた若者も多く、お客としてだけでなく働きたいと飲食業界憧れの存在になり、飲食業界に多くの才能を輩出。また、コロナ禍で再び注目を浴び、若年層を中心にその魅力が再認識された。さらに、新しい飲食シーンの提案として那須塩原に宿泊・食の複合施設を建設する計画に着手し、2024年11月のオープンを目指す。

「私が商売を始めて50年もの歳月が経ちました。これまで、日本の古い権威主義や年功序列に対する嫌悪感から、それを否定したシステム作りに取り組んできました。人間を隷属させず、率直に意見を述べ、よいアイデアであれば誰のものであっても受け入れ、才能を見つけてチャンスを与え、育て上げ、任せる、結果が出れば必ず報酬を与えるという方針で経営しています。

そして店作りの結果が出たり、挑戦が難しく試練に直面したりしました。これを支えてくれるのはパフォーマーであるスタッフです。事業を拡大していくうえで重要な存在です。だからこそ、自分が成功するには彼らにもよい環境を提供する意識を持ち、時には厳しい言葉をかけてきました。そうして、一緒に働く仲間たちが自己価値を高め、独立して成功する確率を高めていったと思います」

外食アワード2023受賞者

株式会社ゼットン 代表取締役社長 鈴木伸典氏

店づくりを通して街づくり!公園再生事業でフラッグシップに 

鈴木伸典氏は、2016年にゼットンの二代目社長に就任し、公園再生事業に取り組んだ。P-PFI(Park Private-Finance-Initiative:都市公園における民間資金を活用した新たな整備・管理手法)を活用するノウハウで評価を得て、飲食を超えた新しいビジネスモデルとして注目を浴びた。2019年3月には葛西臨海公園の再生事業を始動し、新たな賑わいや魅力をもたらした。2023年4月に横浜・山下公園にオープンした「THE WHARF HOUSE(ザ・ワーフハウス)」は、飲食だけでなく足湯など複数のコンテンツを組み合わせ、人が集まる場所として地域コミュニティの結節点として注目された。同社の公園再生事業はフラッグシップになりつつあり、外食の枠を超えて新たな可能性を切り拓いている。

「ゼットンは、飲食業界のカリスマと称される稲本健一が率いていた企業でした。私が事業を引き継いだ2016年当初はプレッシャーに悩み苦しむ日々でした。その中で、何か1つ物を作ろうという考えが生まれたのです。しかし、私は飲食業態を作っているだけではいけないと思いました。私が作るべきものは、ゼットンの経営理念である「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」をスタッフが感じられる事業です。そして、私たちが街を築いている誇りを持てるような事業を構築したいと考えました。

P-PFIの一環として、2017年に葛西臨海公園の再生プロジェクトに着手しました。P-PFIは公園運営を民間に委ねて、自治体は家賃収入を得るスキームです。葛西臨海公園はP-PFIではありませんが、今後はこの成功事例を通じて、都市公園が機能を高め、人々の生活の場所として根付き、街の価値を高めるような実績を示していきたいと思います」

株式会社ファッズ 代表取締役社長 佐野直史氏

「新時代」2店舗で年商10億、コロナ禍2年で70店舗を展開 

新型コロナの影響により、大手居酒屋チェーンは大型店舗を中心に店舗を削減しているなか、佐野氏は現代のニーズに合わせて大箱居酒屋「新時代」を再構築。若者のみならず幅広い層に支持され、東京・秋葉原の「新時代」2店舗では年商10億円を達成。コロナ禍の2年間で70店舗を新規出店し、その成長は今も続いている。

その他にも、「新時代44」や焼鳥の「鳥ぶら」、鴨料理の「とんぺら屋」、タイ政府に認定されたタイ料理を提供する「スコンター」、韓国料理の「ネスタル」など、合わせて6つのブランドを展開。トップダウンによるスピード経営で「新時代」を中心に17年で150店舗、年商200億円の飲食グループを一代で築き上げた。

「私は30年ほど前にブラジルに渡り、プロサッカー選手として5年間活動しました。引退後、何も分からない飲食業界に足を踏み入れました。この未知の領域が楽しくて、とにかく、人が集まる楽しい場所をつくりたいという思いで飲食店を作ってきました。当社のモットーは、『人は楽しいところに集まる』です。この信念は社員、お客様、フランチャイズオーナー、取引先など、すべての関係者との間で実現しはじめたと感じています。

今後は、日常の中に深く入り込んでいきたいと考えています。目指すところはコンビニです。私が展開している業態は、サプライズがあまりありません。コンビニもそうです。しかし、ないと不便です。このようなお店を日本中に展開し、人々が集まる楽しい場所にしたいと考えています」

三菱食品株式会社 執行役員フードサービス本部長 佐藤達也氏

飲食店を支える多岐にわたる商品やサービスを提供 

特約店を介して飲食店に食材を卸売りする、リクエ事業。飲食店の多様な要望に対応するため、加工食品だけでなく、酒類、生鮮食品、清掃用品、資材など、1万品以上の商品を取り揃え、ワンストップ購買・決済に対応。前期売上高は、事業発足以降最高の170億円を超えた。2022年度第3四半期以降、一顧客当たりの物量が急激に増加している。2024年度には同事業の売上高が200億円を超える見通しだ。

「三菱食品といえばスーパーマーケット向きの卸売業というイメージが強いかもしれません。2006年に中小飲食店様向けに業務用食品卸のビジネスを始めました。外食企業様向けの大手卸売業といえば、3温度帯の商品を全国各地の倉庫に備える手法やシステム構築を生業とされています。しかし、当社はこれと同等以上のサービスを、特に東京都内23区の飲食店の皆様に提供したいという理念を掲げてスタートし、7年目になってようやく黒字に転じました。

これもひとえに中小飲食店様のおかげであり、皆様が飲食業界で最も日本の文化を牽引する場所だと考えています。これからも当社がサポートし、発展させていかなければならないと考えております。今後も力を緩めずに中小飲食店様のご繁栄に尽力していくつもりです」

鈴茂器工株式会社 代表取締役社長 鈴木美奈子氏

米飯加工機械で外食業を牽引!国内外の飲食店で人手不足解消に貢献 

米飯加工機械のトップメーカーである、鈴茂器工株式会社。シャリ玉成型やご飯盛り付けロボット「Fuwarica」を開発し、回転寿司チェーンやファストフード、すし酒場などの飲食店において店舗業務の効率化と人手不足対策に貢献している。

アフターコロナ時代における需要回復と人手不足の深刻化に対応し、業界にプラスの影響を与えた。鈴木美奈子氏は、経営ビジョンである「食の『おいしい』や『温かい』を世界の人々へ」を掲げ、柔軟で自前主義に縛られない経営手法を取り入れ、新たな価値の創造と事業拡大に注力している。

「2023年5月に新型コロナウイルスが5類に引き下げられたことで、外食産業の活気が回復しており、非常に嬉しく感じています。一方、新型コロナウイルスの影響で人手不足の問題が未だ解決されておらず、多くの外食事業者様がその影響を受けているのも現状です。

当社は省人化、省力化、効率化、そして最終的には機械化といったキーワードを掲げ、外食事業者様に寄り添ったサポートを提供していきたいと考えています。外食業界の事業者様との日頃の対話から、その中でグローバル化が注目されて、日系事業者様が海外進出する姿勢が増えていることを実感しています。当社は80カ国以上の海外事業者様との取引実績と経験があり、機械だけでなくプラスアルファの分野でもお手伝いができれば幸いです」

サントリーホールディングス株式会社 代表取締役副社長 サントリー株式会社 代表取締役社長 鳥井信宏氏

創造的なビールとジンで飲食店に寄り添い新しい価値を提案 

サントリーは糖質ゼロの業務用ビール『パーフェクトサントリービール(PSB)』を導入。さらに『サントリージャパニーズジン・翠(SUI)』ではジン市場の広がりを促進した。どちらも、業務・家庭用を連携させつつ販売を進め、コロナ禍での酒や外食離れの中でも、飲食店に寄り添い、新しい価値を提供した。

授賞式に鳥井は欠席のため、サントリー株式会社 執行役員 営業推進本部長 飯森隆晃氏が代理で登壇した。

「受賞させていただいたPSBとSUIはコロナ禍に発売された商品です。コロナ禍においても外食に新しい製品を提供する理由は、サントリーが外食において食や酒の楽しさがあると考えているためです。

PSBはカロリーを気にせずに美味しい料理とともにビールを楽しんでいただきたいという思いから生まれ、SUIはジンを飲むだけでなく、食事とも相性がよいというアイデアから生まれました。

今年も新たなビールを外食に提供し、若者に人気のある商品を通じて外食文化を盛り上げる取り組みが続きます。サントリーは飲食店に寄り添い、さまざまな製品を通じて楽しさを提供していく予定です。外食の力を全国の企業の皆様と盛り上げていけたらと思います」

アフターコロナ時代、飲食における不況や人手不足に折れることなく、挑み続ける受賞者たちの姿勢に感動した。今後の活躍も期待したい。

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