遊休施設の再生と防波堤の開放、2年間の実証実験を経て結実した成果
現場での施策として公共施設である防波堤を活用した釣り振興を開始し、国土交通省から釣り文化振興モデル港の指定を獲得した。対馬市所有の旧特産品販売施設を改修し、交流拠点施設であるおっどん市場および遊漁船である釣りたい丸の受付機能を開設している。約2年間にわたりSUP体験や上対馬の名物“魚魚うどん”の販売、浜焼きやワラ焼き体験などの実証実験を繰り返し、安全面や運営管理の課題を検証してきた。2026年5月には海業供用セレモニーが開催され、約200名の関係者が集まり本格運用への第一歩を刻んだ。
小林「旧特産品販売施設を協議会が対馬市から借用し、飲食や物販、浜焼き体験が集約された拠点として活用しています。防波堤釣りや遊漁船釣りたい丸の運用では安全対策や料金設定の課題に直面しましたが、約2年間、合同で試行錯誤を重ねて克服し、一致団結することができました。おっどん市場で提供した“魚魚うどん”は6日間で35万円を売り上げ、体験事業の需要と手応えを実感しています」
単なる観光消費にとどまらず、釣りのマナー啓発や魚捌き体験を通じて漁村の日常や魚食文化に触れてもらう試みが形になり、関係者間の結束力も強固なものとなった。
小林「防波堤釣り体験では釣った魚を地元の飲食店で煮魚や味噌汁にして提供し、来訪者に大きな感動を与えることができました。単なる観光ではなく、釣りのマナー啓発や魚食文化に触れてもらうスタディーツーリズムとしての価値が生まれています。事業者と行政、漁協が一緒になって汗を流した経験が、これからの地域づくりを支える大きな財産になりました」
海業コーディネーターの専任と街中動線の創出、持続可能な地域へ向けた未来像
本格スタートを迎えたものの持続的な発展に向けた課題は残されている。行政中心の運営補助や企画調整に依存しているため、事業全体をマネジメントしプロモーションを推進する専任の海業コーディネーター育成と組織の法人化が急務だ。国際ターミナルから街中への回遊性を高める海業ストリート構想の実現や、ポータルサイトを活用した外部人材・事業者とのマッチング推進が今後の重点施策となる。
八島「上対馬の浜の活力を安定的なものとするには、今のうちから海業を推進しなければなりません。漁協としては漁業者がますます活躍できる環境を整え、次世代へこの豊かな海を継承していく方針です」
地域のポテンシャルを活かした新たなビジネス展開や受入環境整備が進み、全国へ向けたモデルケースとしての発信が期待されている。
小林「私たちは地域を導く灯台でありたいと考えています。行政は地域を照らす存在であり、事業者は責任を負うプレイヤーとして地域を照らし続けなければなりません。上対馬には大きなビジネスチャンスが存在するため、私自身も海業地域プロデューサーとしてこのモデルを全国へ発信していきます」










