1%の背景は、システム改修期間の圧縮が狙い
当初議論のあった消費税率0%(免税)ではなく、あえて1%への引下げとなった背景には、現場の事業者に対する配慮がある。飲食料品の税率を完全に0%とするよりも、1%という軽減税率を設定する方が、POSなどを提供する事業者のシステム改修にかかる期間を短縮でき、2027年4月という早期からの実施が可能になると判断されたためである。これにより、食品メーカーや卸、飲食店の基幹システム、レジシステム等の改修負担が一定程度軽減される見通しである。
外食10%と飲食料品1%で税率差拡大
ここで事業者が最も注意しなければならないのが、外食と販売用飲食料品の税率差の拡大である。外食には標準税率の10%が適用される一方で、テイクアウトや店舗で販売される飲食料品には1%が適用される。現行の2%差(10%と8%)から、2027年4月以降は9%差(10%と1%)へと大幅に拡大することになる。
飲食店内での食事(イートイン)と持ち帰り(テイクアウト)の区別について、店頭での意思確認やレジでのオペレーションが極めて重要になる。価格差が大きくなるため、顧客とのトラブルや誤適用を防ぐための明確なメニュー表示や運用ルールの再構築が不可欠である。飲食事業者は、持ち帰りと店内飲食の税率適用基準を改めて現場スタッフに徹底する必要がある。
外食産業や農業従事者への個別支援策も検討へ
税率の急激な変更は、フードサプライチェーンの各段階に異なる影響を及ぼす。政府は以下の事業者に対する具体的な支援策を検討している。外食産業への支援については、税率引下げが外食産業に与える影響を慎重に見極めた上で、過去の様々な支援策を参考にしながら、資金繰り等のための予算措置を含めた支援策が具体化される方針である。
また、仕入税額控除の還付が受けられない可能性のある農業従事者などに対しても、影響を見極めつつ、現場が納得できるような対応策が予算編成プロセスの中で検討される。
フードサプライチェーンが押さえるべき3段階のタイムライン
この特例措置は2年間限定のつなぎ措置であり、その後に本格的な制度へ移行する。システム対応や契約見直しは、以下のスケジュールを見据えて段階的に行う必要がある。
第1段階:2027年4月から(2年間のつなぎ期間)
飲食料品に係る消費税率が1%(現行の8%から7%引下げ)に引き下げられ、全国民を対象とした1人あたりの負担軽減が実施される。同時に、所得に連動したきめ細かな給付の先行導入が2027年6月以降に開始される。
第2段階:2029年4月から(本格導入期)
給付付き税額控除の理想形・最終形として、所得に連動したきめ細かな給付が本格導入される。これに伴い、飲食料品の消費税率は元の8%へと戻される。
事業者が準備すべき実務対応
この制度変更は、8%から1%へ下がり、2年後に再び8%へと戻るという2段階の税率変更を伴う。事業者は以下の準備を段階的に進める必要がある。まず、システムとレジの複数税率対応の再確認である。2027年4月からの1%への対応に加え、2年後の8%への再変更に柔軟に対応できるシステム設計(設定変更のみで対応できるか等)をベンダーと確認しておく必要がある。
次に、仕入や販売価格の契約見直しである。税率が1%に下がる期間中、取引先との間で本体価格と消費税額の取り決めをどうするか、契約書の書き換えや見積書テンプレートの準備が必要となる。今後のスケジュールとしては、今年8月上旬に政府・与党の方針として決定され、9月に大綱が決定された後、臨時国会に法律案が提出される予定である。最新の動向を注視し、早期の準備を進めることが求められる。
[参照]
首相官邸「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針の閣議決定についての会見(2026年8月5日)
首相官邸「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」についての会見(2026年7月30日)










