飲食店のPLとは?財務分析で達成する安定経営の秘訣

飲食・宿泊2024.01.12

飲食店のPLとは?財務分析で達成する安定経営の秘訣

2024.01.12

飲食店における利益率増加のポイント5選

飲食店を経営するにあたって、利益率を上げられるかは、安定した経営を継続させるためにも非常に重要だ。ここからは、飲食店における利益率を増加させるためにおさえておきたい5つのポイントを紹介する。

  1. 人件費を管理し利益を最大化する
  2. 食材費の削減でメニューの採算性を高める
  3. 固定費を見直し運営コストを最適化する
  4. FD比率を活用して原価率ダウンを図る
  5. 客単価を戦略的に上げる

人件費を管理し利益を最大化する

人件費に充てる金額の理想は、売上高の25~30%程度とされている。人件費はコストの中でも占める割合が大きいため、抑えることで利益率向上を図ろう。

例えば、来客数が少ない時間帯を把握してスタッフのシフトを変更することで、一時的に抑えることができる。

また、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」によって人がやらなくてもいい業務を機械化・デジタル化できれば、継続的に人件費を抑えることができるだろう。

具体的には、「受発注システム」や「店舗運営管理システム」「予約・顧客管理システム」「POSレジ」といったスタッフの業務効率化に関わるものや、「セルフレジ」「モバイルオーダー」などのお客様対応に関わるものを導入し、一連の業務におけるオペレーション改善に取り組む方法が有効だ。

食材費の削減でメニューの採算性を高める

「食材費」を見直すことにより採算性を高めることができる。まずは、使用している食材の見直し。現在使用している食材よりも安く手に入れられる食材に変えることができれば、当然食材費を抑えることが可能だ。

また、仕入先の見直しもおこなうべきである。加えて、在庫管理をこまめにおこない、食材のロスの削減を図ることが大切だ。

固定費を見直し運営コストを最適化する

利益率を上げるために、毎月かかる固定費の見直しは必須だ。

固定費には賃料や水道光熱費、リース料などが含まれるが、固定費が運営コストを占める割合が大きい店舗の賃料は、オーナー様への交渉をおこなうのが第一歩。理想の賃料比率は1か月の売上高の10%。家賃が安い立地での出店を検討することもひとつの選択肢として挙げられるだろう。

さらに、水道光熱費は契約プランを見直す、そのほかリース契約の定期的な見直しも有効だ。

FD比率を活用して原価率ダウンを図る

FD比率(フードとドリンクの売上比率)を活用して原価率ダウンを図ることも利益率増加にはおすすめだ。

調理が必要なフードよりドリンクの方が原価率も低いケースが多く、原価率ダウンに結びつきやすい特徴がある。また、食材に比べてロスも少ない。さらにドリンクは調理も食材も必要なくオペレーションがシンプルなため、結果としてFLコスト(食材費+人件費)を下げることにもつながるのだ。

客単価を戦略的に上げる

客単価を上げることも利益率アップには欠かせない。いかに客単価を上げられるかが利益率向上を握るカギとなる。

具体的には、「季節限定メニュー」や「セットメニュー」などを用意。当初注文しようと思っていたメニューより高いものを注文してもらう「アップセル」や、プラスでほかのメニューやセットで注文してもらう「クロスセル」が狙えるメニューを取り入れると良い。

飲食店のPL(損益計算書)の作成方法

PL(損益計算書)や利益率アップの方法を頭に入れたところで、実際に飲食店におけるPLの作成方法3つについて解説していく。

  1. テンプレートを使用する
  2. 会計ソフトを使用する
  3. 税理士に依頼する

テンプレートを使用する

1つ目は「エクセル」などの表計算ソフトやテンプレートを使った作成方法だ。一旦フォーマットを作ってしまえば、あとは数字を入れていくだけ。その都度計算する手間が省け、手作業よりも入力が簡単。計算ミスの心配もない。ネット上でテンプレートをダウンロードして使えるので非常に便利だ。

ただ、費用がかからない分、勘定科目は自分で入力しなければならない。つまり、多少の簿記の知識が必要だ。

会計ソフトを使用する

2つ目は、「会計ソフト」を使用した作成方法だ。指定箇所に入力すれば簡単かつスピーディーに仕訳が作成できる。

自動で集計して帳簿を作成できるため、効率的に作成を進められるだろう。簿記の知識がない方でも使いやすいのが特徴だ。無料で利用できる会計ソフトもあるが、利用範囲を広げていくと有料の会計ソフトが必要になる場合もある。

税理士に依頼する

3つ目は「税理士への依頼」だ。経理の専門家に依頼するため、正確かつ安心なPLを作成することができる。プロに任せることでPLを自身で作成する時間も省けるため、本業の飲食業に集中できることもメリットとして挙げられる。

ただし、高いコストがかかる点、外注することで自社にPL作成のノウハウを蓄積できないことはデメリットだと言える。

手間とコストのバランスを総合的に判断し、自店に合った作成方法を選択しよう。

売上目標と損益分岐点を知って、飲食店経営を安定させよう

PL(損益計算書)を作成し、売上目標と損益分岐点を把握することは、飲食店経営を安定させるうえで必要不可欠である。

売上目標は経営の道しるべとなり、損益分岐点は経営の安全ラインを示す。これらが明確になることで、利益を確保・向上させるための効果的な戦略を立てることができるだろう。今回紹介したポイントを活かしつつ、安定した飲食店経営を目指そう。

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