適切な購買管理とは
飲食店における購買管理とは、主に原材料や資材などの仕入れ業務を適切に行うことを指す。具体的には取引先の選定を丁寧におこない、商品の品質・量・価格・納期などを入念に検討することで、より効率的な仕入れを実現することが目的だ。適切な購買管理をするための基本的な考え方を挙げるので、注意して見直してほしい。
・適正な仕入れ先を選定する
商品を仕入れる際には、安定した供給が見込める仕入先を選ぶことが大切だ。仕入れが滞ったり食材の種類や量が間違ったりすると、自社の機会損失にもつながる。
・適正な品質を確保する
提供するメニューの質を高めるには、使用する食材の品質が大きく関わってくる。届いた食材の状態やサイズ感などに問題がないかしっかりチェックし、いつもと品質が異なる場合には迅速に連絡すること。
・適正な数量を決める
どの程度の在庫を持っていれば過不足にならないかを考えながら、仕入れる量を決定すること。食材の発注量は時期や季節によっても変わるので、毎月の発注や消費を参考にして定期的に調整しなければならない。また食品ロスを出さないために、新鮮な状態を保てる期間も考慮する必要がある。
・適正な納期を設定する
納期が不安定だと、焦って発注したり反対に無駄な在庫を持ったりしてしまう。適正な購買管理を行うためにも、発注から納品までの時間(リードタイム)や、取引先が緊急時にどの程度まで素早く対応してくれるかを把握しておくべきである。
・適正な価格で購入する
仕入れ価格は、飲食店の利益に直結する重要な要素といえる。ただ安いだけでなく、食材の品質や量に見合った価格であるかをしっかりと見極めることが大切だ。特に生鮮食材は天候不順でも価格が変動しやすい点に注意してほしい。
仕入れ・在庫管理を改善する5つの手段
仕入れ・在庫管理の改善は、仕入れの計画から、実際の取引、納品後の事務処理など大まかな流れを把握するところから始める。計画に沿って安定的な仕入れができているか、無駄な出費やコストが発生していないかなどに着目し、気になる部分から改善するといいだろう。
特に大型連休や年末年始などの時期は来店客の増減が激しく、食材の消費量が想定を上回るケースがある。もし在庫切れを起こしてしまうと、利益を得られるチャンスを逃してしまいかねない。
そこでより安定した仕入れや在庫管理を実現するためにも、購買管理で改善するべき部分は徹底的に洗い出しておこう。
購買方針やルールの明確化
飲食店の経営者もしくは仕入れ担当者が1人で発注業務を行っている場合、これまでの経験やノウハウなどから比較的安定した購買業務をこなせることもある。
しかし多店舗の購買管理を1人で行うのは現実的ではない。担当者が休みの日は完全に業務が滞ってしまい。担当者が毎日のデータをしっかりと把握しようとすると、業務負担が増えてしまうからだ。
そうした業務環境を改善するためには、店舗内で購買方針やルールを統一し、誰が実施しても安定した発注業務をできるとよいだろう。例えば「発注点の設定」が挙げられる。
発注点とは、在庫が一定数減少した際に発注をかける基準となる在庫量のこと。これを明確に決めておくことで、適正な仕入れ量やタイミングを判断できるようになり、在庫の過不足を防ぐことが可能になる。
データの一元管理
飲食店の管理業務では食材ごとの原価や仕入先ごとの請求書、納品書、店舗ごとの仕入れコストのほか、メニューごとの原価、利益、レシピ、原材料の産地などの様々な情報が蓄積されるため、非常に膨大なデータ量となる。また複数いる仕入れ担当者がそれぞれの方法で購買管理をしていると、社内にデータが散らばってしまい収拾がつかなくなることもある。
いざという時に月々の売上や商品ごとの原価などが参照できなければ、過去のデータから適切な発注量の設定やメニューの価格見直しといった改善にも活かせない。特に紙媒体やエクセルは、発注の度に事務処理や整理する必要がありデータが散らばりやすい。
季節メニューの入れ替えや原価管理などの際にいつでも誰でも購買データを閲覧できるよう、なるべくデータは1つのツールに集約して一元管理することが望ましい。
購買業務に適した仕組みの導入
FAXや電話によるアナログな発注業務では、取引した内容を忘れたり保存し忘れたりするリスクがある。また紙媒体やエクセルによるデータ管理は、入力ミスや知りたい情報を素早く引き出せなくなるなどのデメリットが多い。
これらの課題を解決するためには、様々な取引先の情報や原材料データなどを集約した一元管理、複数の従業員によるスムーズ情報共有を行いたいところ。そこで注目したいのが、購買管理に適したシステムの導入である。
例えば「BtoBプラットフォーム受発注」では、取引先情報や発注情報を確認することができる。さらに取引データを自動で取得することにより、日々の事務作業を大幅に削減できる。
仕入れ品ごと、仕入先ごとの正確な原価計算やモバイル端末でリアルタイムな状況を確認できるようになり、本部の購買の見える化にも繋がる。数値で表せる定量的なデータ管理は、システム化することでよりスムーズな業務を実現しやすくなるだろう。