飲食店の利益率改善は購買管理から。ロス・機会損失を防ぐ仕入れ対策

飲食・宿泊2022.01.07

飲食店の利益率改善は購買管理から。ロス・機会損失を防ぐ仕入れ対策

2022.01.07

繁忙期の流通価格や相場を調査

購買管理で特に気をつけなければならないのが、大型連休や年末年始といった飲食業界における繁忙期の食材の流通価格である。来店客が増えて需要が高まるということは、それだけ食材の仕入れ価格も高くなる傾向にあるからだ。

そうした時期には、飲食店側でもいつも以上に慎重な発注や仕入れを行うことが重要となる。この手段として、値段が高騰している時は食材の仕入れ量は抑え、なるべく値段が下がっている時に仕入れるなどが一例として挙げられる。

特に規模の大きい飲食店では、売上や仕入れコストの金額もかなり高額となる。例えば、年間の利益が1億円であれば、1%の利益率アップに成功するだけで100万円ものプラスに繋がり、その分を人件費や広告宣伝費などに回すことが可能である。

仕入れ食材の価格については、各地域で開設されている「中央卸売市場」で卸売価格、農林水産省のWebサイトで小売価格を確認することが可能。直近の価格や過去のデータを見ることで、現状の仕入れ調整の参考にもなるだろう。

仕入れ先の変更

もし現状の取引がコストに見合っていない場合、仕入れ先の変更も視野に入れる。特に重視したいのは価格と品質のバランス。例えば、高級志向の店舗ならより品質の高い食材を調達できるところ、コスト削減であれば多少品質を落としても価格の安いところを選ぶのもひとつの手だ。

とはいえ、何度も取引している業者から変更するのは思い切った決断が必要になるだろう。だからこそ食材の品質や価格などの様々な面からしっかりと検討し、店舗の利益アップに繋がるかを判断することが重要だ。

もし生産者とのツテがあるなら、生産者と直接取引することでブランド力や利益率の向上を見込めるケースもある。ただし不作による食材の供給量が減少するリスクや、少量の取引では運送コストが高くなるなどの課題も挙げられるため、飲食店によって向き・不向きはあるだろう。

購買管理の決め手は、発注数量と頻度の把握

飲食店での発注や購買管理で意識すべきことは、主に適正な発注点(発注の基準となる在庫量)、一度に発注する数量の設定である。そして適正な発注サイクルを維持するために、日頃の食材の消費量や発注から納品までに必要な期間となるリードタイムを把握して発注を行うこと。

適正な在庫量は、「一定期間の需要と安全在庫を足した数量」が基準となる。一定期間の需要は、発注間隔や消費量などによって異なるため、一概にどれくらいの数量になるかは店舗によって異なる。

そこで過去のデータや季節による売上の変動を考慮した上で、どの程度在庫が消費されるかを想定しておこう。加えてメディアによる影響などで一時的に消費量が増えた場合にも、欠品を防ぐために最小限保持しておく「安全在庫」を持っておかなければならない。

例えば、以下のようなケース。

・発注タイミングが5日ごと
・1日に約2つの在庫が減る
・リードタイムが2日
 

営業日(日) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
消費量(個) 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
発注日
納品日


この場合、発注点は「在庫4つ(2日分の消費量)+安全在庫」、発注量が10となる。

また飲食店では、食材の消費期限切れにも注意しておきたい。在庫切れによる機会損失を恐れて多くの在庫を持ちすぎていると、その分食品ロスが増えてしまうリスクがあるからだ。

発注管理の徹底で仕入れコストを抑えで利益率を改善

購買管理は、飲食店の経営コストに大きく関わってくる部分なので、決して疎かにしてはいけない業務である。そのため、常日頃から発注業務や在庫管理などの改善点を模索し、店舗のプラスに繋げたいところ。

特に近年では、コロナ禍の影響で原価や食品ロスを削減した方が確実な利益確保に繋がりやすい。

現状の購買管理を事細かに確認していけば、まだ見つかっていない課題や問題点も少なからず出てくるもの。適正な在庫管理や発注点の設定を実践し、購買業務システムなどの仕組みを活用することで、安定した店舗経営に努めてもらいたい。

出典:
参考:東京都中央卸売市場「週間市況」
参考:農林水産省「食品の価格動向」


仕入れ金額の計算を自動化する発注システム
 

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