ホテルからのFAX発注書をデジタル化して業務効率化を実現~兼正青果・協栄産業

卸・メーカー2025.04.15

ホテルからのFAX発注書をデジタル化して業務効率化を実現~兼正青果・協栄産業

2025.04.15

ホテルからのFAX発注書をデジタル化して業務効率化を実現~兼正青果・協栄産業

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食品卸業界では、FAX注文の受注処理が大きな負担となっている。あいまいな商品名や納品ロットの指定、手書き文字の判読、基幹システムへの入力は時間がかかり、ミスのリスクも高く、業務の属人化を招いている。

青果卸の兼正青果と協栄産業は、取引先のホテルから日々送信されるFAX発注書をOCRでデジタル化しインフォマートの受発注システムにデータ連携させることで、手入力の解消と業務時間の短縮を実現している。

目次

ホテルに青果を配送する卸・兼正青果、協栄産業

沖縄県を拠点とする有限会社兼正青果と大阪を拠点とする協栄産業は、ともに各エリアのホテルや飲食店向けに青果を卸している。

【Q】受注業務にどのような課題がありましたか?

有限会社兼正青果 総務経理部 課長 田崎 之燈己 氏(以下、兼正青果 田崎課長)当社は観光業が盛んである沖縄県がメインの配送エリアとなりますので、多くのホテル様と取引があり、受注方法は『BtoBプラットフォーム 受発注』やLINEを使った受発注システム『TANOMU』などのインフォマートシステム、ホテル様独自の発注システム、FAX、電話注文と多岐にわたります。

『BtoBプラットフォーム 受発注』や『TANOMU』を使って発注を頂く取引先様については、CSVデータで受注情報を基幹システムに取り込むことが可能なため、受注業務が簡素化されています。

しかし、ホテル様独自の発注システムを利用されている場合は、わざわざ発注書を印刷して、基幹システムへ手入力で計上作業をします。一つのホテル様でも「レストラン」「和食」など分けて計上するので、30~40分ほど時間を要しています。また、注文も一度にまとめて来るわけではないので、追加注文の見落としなども発生していました。

協栄産業株式会社 営業部 部長 谷川 潤 氏(以下、協栄産業 谷川部長)当社も毎日大量に届くFAX発注書を受注処理する際、個別対応が必要です。取引先独自の商品名で記載されることも多いため、注文内容の特定に時間がかかっていました。

発注書が机の上に山積みとなり、毎月約2000枚を1日中誰かが受注処理する必要があり、人的負担が大きく業務の属人化も課題となっていました。

FAX発注書をOCRでデジタル化し、受発注システムと連携

【Q】『発注書AI-OCR(invox)』導入の経緯を教えてください。

兼正青果 田崎課長 FAX発注書をOCR機能で読み込んで、商品を自動特定してCSVデータ化できる『発注書AI-OCR(invox)』を知り、業務改善の可能性を感じました。

手入力の負担が大幅に減るうえ、AIで文字の誤読を減らせること、既存のインフォマートの受発注システムとの連携が容易な点が決め手となり導入しました。まずは一部のホテルからのFAX発注書で試験運用して、順次対応範囲を広げています。

【Q】導入後の変化や効果について教えてください。

兼正青果 田崎課長 『発注書AI-OCR(invox)』でFAX発注書をデジタル処理したことで、1件あたりの処理時間が30~40分から数分に削減できました。受注漏れや手入力のミスも減り、FAXのペーパーレス化が進んでいます。

取引先個別の商品名や納品数量も適切に受注処理されるため、業務の属人化が解消され、どの担当者でも受注対応できるようになりました。AIが学習を重ねることで処理精度も向上し、運用がスムーズです。

『発注書AI-OCR(invox)』による手書き文字の読み込みイメージ

『発注書AI-OCR(invox)』による手書き文字の読み込みイメージ

協栄産業 谷川部長 以前は毎月約2000枚のFAX発注書を手作業で処理していましたが、『発注書AI-OCR(invox)』を使うことで、手作業で処理するFAX発注書は、30枚まで削減され、ペーパーレス化が進みました。何より、受注内容のデジタル管理により、必要な情報に即時アクセスできるようになったほか、伝票の出力漏れや紛失もほぼゼロになり、受注ミスや二重処理の問題も解消しました。

さらに、受注データをクラウドで管理することで、どこからでもマネジメントが可能になりました。以前は冷蔵庫内でのピッキング作業時に紙の発注書を持ち歩いていましたが、現在はスマートフォンやタブレットで確認でき、作業効率が向上しています。作業時間も月間1300時間から680時間まで短縮され、浮いた時間を他の業務に充てています。

受注業務の属人化も改善されました。以前はベテラン担当者でなければ対応が難しく、急な欠勤時には業務が滞ることがありました。現在はどの担当者でも同じ手順で処理できるようになり、業務の標準化が進んでいます。

また、外資系ホテルからの英語の発注書を受注処理する際も、担当者が細かく確認する必要がなくなりました。『発注書AI-OCR(invox)』が必要な情報を自動で識別し、不要なデータを省くことで、処理時間が短縮されています。

【Q】『発注書AI-OCR』導入時に苦労した点はありましたか?

協栄産業 谷川部長 新システムの導入には現場の協力が不可欠ですが、社内の理解を得ることが最大の課題でした。FAX発注書の手作業処理に慣れた社員の中には、新しい仕組みへの抵抗感を持つ人も多くいたからです。

現場の担当者からはすぐ紙に戻してほしいという意見もあり、意識改革が不可欠でした。そのため、導入当初は手作業の負担軽減や業務の属人化解消、受注ミスの削減などのメリットを具体的な数字とともに説明し、理解を深めてもらうことに注力しました。

当社もスムーズな移行のために、まずは一部のホテルで試験運用して、徐々に対象を広げていく段階的な導入を実施しました。これにより、現場の抵抗感を軽減しながら適応することができたと考えます。現場スタッフも導入から3カ月ほどでシステムに慣れ、その後社内全体での活用を本格的に進めていきました。

負担を軽減しながらスムーズに移行できたことが成功の要因です。結果として、FAX発注書処理の負担を大幅に削減し、受注業務の効率化を実現できました。

【Q】今後はどのような活用をお考えですか?

協栄産業 谷川部長 『発注書AI-OCR(invox)』の導入により受注業務の効率化が進みました。しかし、依然として発注は一方通行で取引先ごとに方法が異なるため、さらなる改善が必要です。また、発注情報と在庫管理システムを連携できれば、受注業務はもちろん発注業務の負担もさらに軽減されるでしょう。ITを活用してよりよい環境づくりを進めていきます。

兼正青果 田崎課長 当社でも、多くのホテル・飲食店様がFAX発注を利用しており、完全なデジタル化には至っていません。Web注文への移行は弊社も引き続き促進していきますが、インフォマートの受発注システムがホテル業界にさらに普及し、業界全体がデジタル化へ進むことを期待しています。

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