飲食店の棚卸のきほん。原価・利益率の関係と計算式、仕入れのムダ・ロスを減らす在庫管理のコツ

飲食・宿泊2020.10.06

飲食店の棚卸のきほん。原価・利益率の関係と計算式、仕入れのムダ・ロスを減らす在庫管理のコツ

2020.10.06

飲食店の棚卸のきほん。原価・利益率の関係と計算式、仕入れのムダ・ロスを減らす在庫管理のコツ

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飲食店経営において重要なもののひとつに、食材の仕入れや在庫管理と密接に関わる棚卸がある。しかし、ひと言で棚卸といっても、店舗にある在庫を数えるだけではない。企業の利益や個人事業の確定申告などにも影響してくるからだ。今回は、飲食店に棚卸が必要な理由から棚卸の種類や効率化のコツについて紹介する。

目次

何のための棚卸?飲食店でも数値管理が必要な理由

飲食店を経営するにあたって、毎月行う欠かせないことのひとつが棚卸だ。なんとなく実施している方もいるかもしれないが、棚卸は店舗の売上などにも関わる重要な作業といえる。では一体、棚卸にはどんな意味があるのだろうか。詳しく解説していく。

よく出る食材と残りやすい食材を把握し、在庫ロスを軽減

定期的に棚卸を行うことで、店舗の在庫状況を正確に把握することが可能だ。すると、どんな食材がよく使われているのか、逆に在庫として残りやすい食材はどれかがわかる。

特に多種多様な食材を取り扱っている飲食店では、日頃から何がよく消費されているのかを正確に把握することが困難だ。そんなときに、棚卸で毎月の在庫状況を数値管理できていれば「この食材はあまり出ていないから仕入れの量を減らそう」と無駄な在庫ロスを減らすことができる。

飲食店で取り扱っている食材の中には、長期保存できないものが多いのもポイントといえるだろう。無駄に多くの在庫を抱えてしまうと、使われない食材などがそのままロスにつながってしまうからだ。

また飲食店は、季節によっても人気のメニューが変わってくる。時期によって異なる顧客のニーズに素早く対応していくためにも、在庫を正確に把握することは必要不可欠だ。

このように、棚卸では店舗にある毎月の在庫状況をしっかりと把握でき、ロスや損失を減らせるので、結果として店舗の売り上げに貢献する。

粗利(売上総利益)のコントロール

粗利とは会計上でいう売上総利益を指しており、売上高から売上原価を差し引くことで算出できる。売上原価は棚卸をすることで導き出せる。粗利でわかるのは、企業がどの程度の利益を出しているかということだ。

粗利(売上総利益) = 売上高 - 売上原価

売上原価 = 期首棚卸高 + 当月仕入れ高 - 期末棚卸高

期首棚卸高:前期末からの在庫を繰り越した総額
期末棚卸高:期末に残った在庫の総額

例えば、仕入れた食材がその月にすべて売れるとは限らず、前月から残っている在庫を利用することもあるはずだ。そのため、当月中に仕入れた食材の売上原価だけでは、粗利を導き出すことができない。

飲食店に限らず、基本的に食材を仕入れると支払いが発生する。しかし仕入れた食材が売れるまでは、実際のお金に代わらない。だからこそ、定期的に棚卸を実施することで粗利を知り、本当に利益が出ているかを把握することが大事だ。

関連記事:飲食店の売上・コストの考え方と経営数値の活かし方

棚卸高の数値は確定申告に必要

棚卸の数値は、企業の利益を把握するだけではない。飲食店を経営するのが個人事業主の場合、確定申告の際にも必要となる。なぜなら確定申告では、対象になる年の1月1日から12月31日までの利益を申告し、その金額に見合った額を納税しなければならないからだ。

例えばいくつか食材を仕入れた場合、その年の12月31日までに顧客へ料理として提供すれば問題ない。しかし必ずと言っていいほど、次の年に繰り越される在庫が発生するはずだ。

その場合、繰り越された在庫は次の年の期首棚卸高として計算される。これらの帳尻を合わせ、正しい納税額を導き出すために棚卸が必要になる。青色申告では青色申告決算書、白色申告では収支内訳書に記入する必要がある。

また棚卸高は、商品の明細とともに棚卸表を作成し、青色申告で7年、白色申告で5年間は保管しなければならない。棚卸表は請求書や領収書などと同じで、確定申告の際に提出する必要はないものの、税務調査などで求められた際には提示する必要がある。

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