売上総利益の計算式
売上総利益(粗利益)の計算方法は、簡単に表すと「売上総利益=売上高 - 売上原価」で導き出すことが可能だ。例えば500円で仕入れた商品を1,500円で売った場合、1,500 - 500で売上総利益は1,000円になる。
しかし先ほども述べた通り、飲食店では大量の食材を仕入れ、その在庫が次の年に繰り越されることもある。そのため、前年から繰り越された在庫(期首棚卸高)と、来年に繰越す在庫(期末棚卸高)で売上原価を算出しなければならない。売上原価は次の計算式になる。
売上原価 = 期首棚卸高 + 仕入れ高 - 期末棚卸高
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先ほどの事例において、もし前年から500円の商品が2つ繰り越されており、今年の年末に1つ在庫が残った場合、下記の計算式となる。
売上原価 = 1,000 + 500 - 500 = 1,000円
今年売れた商品が2つ場合、売上高は3,000円。売上総利益にすると「3,000 - 1,000」となり、2,000円分の利益となる。
原価率の計算式
棚卸をすると、売上総利益だけでなく原価率の管理も求められる。原価率は、飲食店を経営する上で欠かせない指標のひとつだ。例えば、あまりにも仕入れ値が高く食材のロスが多くなると、その分、原価率も上昇する。すると店舗の利益が少なくなり、最終的に経営を維持できなくなるケースもある。
そのため、原価率を正確に把握しておけば、「仕入れ値が高くて利益が取れないから、メニューの値段を上げよう」「できるだけロスを少なくして利益につなげよう」と、様々な改善を打ち出せる。
原価率の計算方法は、以下で算出することが可能だ。
原価率(%)=売上原価 ÷ 売上高 × 100
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例えば売上原価が1,000円、売上高が3,000円だと「1,000 ÷ 3,000 × 100=33.3」という計算になり、原価率は33%ほどになる。
また飲食店では、一般的に原価率が30%前後であるのが望ましいとされている。なぜなら、あまりに利益を求めすぎると、価値に見合ったサービスを提供するのが難しくなり、逆に利益を度外視すると経営難に陥ってしまうからだ。
飲食店を健全に経営し続けるためにも、原価率を設定し、ひとつの指標として意識することが重要といえるだろう。
関連記事:飲食店経営に必要な原価率計算と成功事例から見る原価管理の重要性
飲食店の棚卸の種類
棚卸の方法には、いくつか種類がある。というのも、飲食店では仕入れる食材の種類が多く原価が変動しやすいため、正しく管理するのが難しい。そのため、店舗によって最適な棚卸方法を見つける必要がある。具体的には、
・個別法
・先入先出法
・総平均法
・移動平均法
・最終仕入原価法
・売価還元法
など様々だ。中でも飲食店では、最終仕入原価法が一般的になる。この方法は、食材などの原価を最後に仕入れた金額に合わせるというものだ。例えば期のはじめに1,000円で仕入れた食材であっても、期末に1,500円で仕入れたなら食材の原価は1,500円になる。
計算が簡単なので、実務をスムーズに済ませるというメリットがある反面、実際の価格を反映していないので多少のズレが発生することも考えられるだろう。
食材の仕入れや消費が激しい飲食店では、「移動平均法が良い」という意見もある。この方法は、今現在の在庫にある食材の原価を、仕入れた金額の平均で導き出すというものだ。
飲食店では個々の食材をしっかり管理することが難しいため、平均を取りできるだけ正しい数値に近づけるのが移動平均法を採用する理由となる。また、最終仕入原価法以外を採用する場合、届け出が必要になるので注意してほしい。