デジタル化で紙の請求書発行がほぼゼロに。物流DXの一翼を担う業務改革を推進する~サッポログループ物流株式会社

卸・メーカー2022.06.24

デジタル化で紙の請求書発行がほぼゼロに。物流DXの一翼を担う業務改革を推進する~サッポログループ物流株式会社

2022.06.24

デジタル化で紙の請求書発行がほぼゼロに。物流DXの一翼を担う業務改革を推進する~サッポログループ物流株式会社

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大手飲料メーカー、サッポログループの物流事業を担うサッポログループ物流株式会社。グループ外企業との取引も多く、協力会社と連携した輸配送を行うため、受け取る請求書も発行する請求書も膨大な件数になります。事業拡大と将来の労働人口減少を見据えた業務標準化プロジェクトとして請求支払業務をデジタル化。電子請求書と郵送代行でペーパーレスを実現しました。

目次

非効率な請求支払業務。だが、本当の課題は…

【Q】サッポログループ物流という社名のとおり、グループ会社の物流を一手に引き受けておられるのでしょうか。

経営戦略部 課長代理 加藤氏

当社は配送と倉庫管理業が事業の二本柱です。もちろんグループの事業会社であるサッポロビール株式会社、およびポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社(以下、ポッカサッポロ社)の商品の安定的な輸配送は事業の主軸ですが、グループ会社以外の貨物も扱っています。

当社の物流は自社の車輛を使うのではなく、協力会社と連携したネットワークによる円滑な運送が特長です。その幅広いネットワークとノウハウを活かし、酒類や食品だけでなく、建材や自動車、設備関連など多岐にわたる貨物を取り扱っています。その他、原料の輸出入なども担っています。(経営戦略部 課長代理 加藤氏 以下、同)

【Q】グループ内外での取引が多いと、請求書は受取も発行もかなりの件数になりそうですね。

はい、受取・発行いずれも取引社数は1,000社を超えており、それぞれ毎月700件近いやりとりが発生しています。私が所属しているのは経営戦略部で、直接お客様に請求書や支払通知書を発行している部署ではありませんが、経営戦略としての物流改革、業務改革の一環で、請求業務のデジタル化を進めています。

もともとは、全社的に業務標準化を推進する大きなプロジェクトがあり、基幹システムや主軸の業務に関わる配車システムの刷新などと同時に、電子請求書システムの導入が検討されたという経緯があります。

【Q】従来の請求・支払業務にはどのような課題があったのでしょうか。

請求書の授受は、全国に9つある支社で行っていますが、効率的とは言い難い状態でした。請求書を発行する際は、帳簿に日付とどこ宛ての請求書なのかを手書きした上で上長の承認を受け、社印を押してもらいます。また、請求書は、郵送する前にあらかじめFAXやメールで先方に内容を知らせた上で、改めて原本を封かんして送っていました。

支払業務でも、希望する協力会社に支払通知書を発行していましたが、これもFAXやPDF、エクセルファイルなど先方の希望に合わせていたので形式はバラバラ。業務標準化にはほど遠かったですね。こうした作業を支社ごとに数人いる担当者が月初に4日ほどかけて行っていました。この時期だけ極めて繁忙になる状況です。

ただ一番の課題は、現場に課題意識がなく、この状態を「当たり前」だと思っていたことかもしれません。会社に歴史があるぶん業務も長年の慣習が浸透しており、はたからは大変な作業に見えても、こなせてしまうんです。しかし、取引が増えれば業務も増えていく一方で、労働人口は今後、減少していきます。未来を見据え、やり方を変えなければという意識改革が必要でした。

【Q】電子請求システムに『BtoBプラットフォーム 請求書」を選ばれた理由は何でしょうか。

事業会社のポッカサッポロ社で既に導入しており、その紹介を受けたときいています。複数のグループ会社でも導入していたようです。私はプロジェクトの途中から担当を引継いだのですが、もう導入は決定しており各支社や取引先への説明を直前に控えたタイミングでした。個人的な話ながら、突然の辞令にとにかく『BtoBプラットフォーム 請求書』の概要を理解し、人前で説明できるようにしなければと必死でした。とはいえ私自身、伝統より変化が好きですし、紙とデジタルならデジタルの方がいいので、電子請求書はぜひ広めたいという思いはありました。

変わることへの抵抗を乗り越え、デジタル化成功

【Q】社内からはデジタル化への反発などはありませんでしたか?

反発というよりも、今の状態を変えたくないというのが率直なところだったと思います。長年続けてきたこれまでのやり方を変えるとなれば、抵抗を感じる方がいるのは当然かもしれません。新しいシステムを一から覚えるのは大変です。しかし、「今できてるからいいじゃないか」という考えなら、あと何十年もはたしてこの状態を続けるのか、想像してみるのも大事です。

各支社の関係者には私からも説明しましたし、インフォマートの営業担当者からも説明会で事例を交えながらお話いただきました。普段、社外の人の話を聞く機会がないので、良い刺激になったようでした。

【Q】取引先からの反応はいかがでしたか?

取引先には電子請求書に移行しますという案内ハガキをお送りしました。問い合わせ先には私の携帯電話番号を載せたのですが、しばらく電話が鳴りやまなくて大変でした(笑)。ただ、クレームのような内容ではなく、多かったのは操作方法に関するお問い合わせです。1件1件対応した結果、導入当初からデジタル化率は60%以上とまずまずの出だしで、手応えを感じました。そこから毎月移行が進んでいき、2020年6月の導入開始から2年弱経った現在、発行する請求書の9割はデジタル化しています。残りの1割はオプションの「郵送代行機能」を利用しているため、紙による発行作業はありません。

支払業務に関しても、発注段階で基幹システムに入っている金額を元にすべての取引先に支払通知書を発行しています。取引先からの請求書は紙で届くものもまだありますが、少しずつ『BtoBプラットフォーム 請求書』の画面上で返してくださる会社も増え、浸透している様子を感じます。

【Q】『BtoBプラットフォーム 請求書」の導入後、業務効率化は進みましたか?

作業時間は半日から1日程度短縮され、実務担当者も業務負担が減ったことを実感しているようです。発行後に即日届くので、先方へFAXやメールを送るといった手間もなくなりました。デジタル化の比率が高まっていくにつれ、担当者から積極的に「操作方法を教えてほしい」と問い合わせがくるようになりました。

そこで、グループチャットでチームを組み、ノウハウを共有したり、よくある質問や便利な使い方などをマニュアルにしたりといった取り組みをしています。当初は私が引き受けていた取引先からの問い合わせも、各担当者で対応できるようになり、私自身もだいぶ楽になりました。

今は新規の取引先への案内は各支社で行っており、請求支払は『BtoBプラットフォーム 請求書』で行う旨を最初に伝えています。基幹システムに企業情報を登録する際もメールアドレスを必須項目として入力するフローに変えました。『BtoBプラットフォーム 請求書』をここまで浸透させることができたポイントは、確実性とスピードだと思います。毎月デジタル化が進み、先月より楽になったと実感すれば自然と自走していきます。業務標準化プロジェクトの中でもずば抜けた効果を得られています。

これからの物流業界に必要なロジスティクス改革

【Q】『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入はちょうど新型コロナウイルス感染拡大の時期と重なっていたかと思いますが、影響はありましたか?

コロナ禍はまだ続いており、働き方の変化にさまざまな影響を与えていますが、中でもテレワークの普及は大きな変化です。大半の請求書、支払通知書をデジタル化していたことでテレワークが可能でしたし、本社は今でもテレワークが基本です。ただ、トラックの発着がある支社はテレワークが難しく、これは今後の課題です。ドライバーの方や対面での対応が必要な業務は仕方ないとはいえ、全員が出社している必要はありません。少しずつ、可能な業務はテレワークをという機運は高まりつつあります。

【Q】今後の展望をお聞かせください。

メーカーとしてどんなに良い商品を作っても安定して円滑に運べなければ意味がありません。物流部門の重要性はますます高まっています。それは今やサッポログループのみの話にとどまりません。物流業界全体の問題意識としてとらえ、他社との協働によるロジスティクス改革といった取り組みにつなげています。

物流は長い歴史があるだけに変化に対する抵抗があったり、紙ベースのやりとりが多かったりする業界です。当社は比較的デジタル化やDXへの取り組みが進んでいる自負はありますが、それでもたとえばAmazonの配送システムなどに比べれば大きな差を感じます。加速する時代の変化に対応していくには、業界全体でのデジタル改革への取り組みは必須となるでしょうし、大きな可能性のある領域だと感じています。


電子帳簿保存法・インボイス制度対応のBtoBプラットフォーム請求書

サッポログループ物流株式会社

事業内容 : 貨物利用運送業 荷役作業および倉庫業 流通加工ほか
代表者 : 代表取締役社長 田島 一孝
本社所在地 : 東京都渋谷区恵比寿四丁目20番1号
企業サイト : https://www.sapporo-gl.jp/

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