メーカーと卸の機能を併せもつ食品総合商社
【Q】御社の事業内容について、詳しく教えてください。
弊社は、メーカーの機能と、卸の機能を併せもつ食品総合商社です。社会の変化や生活者のニーズに応えるため、「卸売市場」「ロジスティクス市場」「製造・加工市場」の3つの市場分野における「ACCESS VALUE」の実現を通じて、「卸売」の枠を超えた「卸」企業を目指しています。
私の所属する外食流通第二営業部では、外食向けのメニュー提案や商品提案、システム営業などを担い、大手外食チェーン企業様ともお取引があります。私は同部門の運営サポート課で、主に新規取引先の口座開設や、商品売買基本契約書の締結管理、商品単価の管理、請求資料の作成など営業のサポート業務を担当しています。(外食流通第二営業部運営サポート課 大田氏 以下、大田氏)
私の所属する総合企画部 BPR統括課は2018年度より、総合企画部が中心となって“BPRプロジェクト”を推進し、支店業務の改革改善施策の立案・構築・展開を進めてきました。
2019年度からは全社として体制を正式に発足し、ペーパーレス化やRPAの導入による稼働創出、個別業務レベルの改善、テレワーク環境整備などについて業務改革を全社的に推進しています。(総合企画部 BPR統括課 岩井氏 以下、岩井氏)
新規お取引先との約350件にのぼる契約業務が課題に
【Q】お取引先との契約は、どのようにされていますか。
お取引先と契約書のひな型をもとにやり取りをして、内容の合意後に社内で稟議をかけ、稟議終了後に印刷して製本、いくつかの部署へ回し、確認・承認・押捺後に戻ってきた契約書を郵送します。お取引先からの弊社控え分の原本が戻ってきたらようやく締結が完了、原本を管理部に預けて、保管するといった流れです。『BtoBプラットフォーム 契約書』を導入するまでは紙でのやり取りだったので、印刷・製本ならびに捺印のためだけに出社したり、契約書がお取引先のもとへ届いたかどうか、返送状況などを確認したりする作業に時間がかかっていました。
そのような状況下、2019年の秋頃、新たに約350社のお取引先様と新しく商品売買契約書を締結、見直しすることが決まり、約350社の口座を開設する作業が必要になりました。これまで最大100~150社ほどの契約業務を3~4ヶ月でこなしていましたが、350社ともなると膨大な作業量です。8人体制で取り組んでも、半年はかかります。さらに印紙代も1件につき4,000円必要ですから、約140万円のコスト増加になってしまいます。1件ずつ製本して郵送する作業も大変ですし、締結完了できたかどうかを別の管理表で管理しなければならないため、管理も煩雑になることが予想されました。
膨大な作業になることを想定したなか、当初は紙での契約書締結を進めていたのですが、効率化を目的とした電子契約での検討の話が持ち上がり、検討の結果、電子契約システムを導入する運びとなりました。ちょうど新型コロナウイルスの感染が拡大しつつあった時期で、印刷・製本・捺印するためだけに出社しなければならないという課題も併せてあったので、社内で契約書自体を電子化しようという施策の中でインフォマート社の『BtoBプラットフォーム 契約書』を導入することにしました。(大田氏)
2020年度上期だけで約100万円の印紙・郵送代を削減
【Q】お取引先には、どのような説明をされたのですか。
紙と電子では文化が全く違うので、お取引先の説得には工夫が必要でした。いきなり「電子契約をやります」と言っても受け入れてもらえないでしょうから、まずはA4で3~5ページ程度の簡単な資料を3つほど作成し、それを見ていただくことにしました。資料は「そもそも電子契約とは?」というところから始め、電子契約で時間と印紙のコストが削減できる点を分かりやすく説明しました。お取引先様としても、やはり印紙代のコスト削減できる点がメリットとして一番大きかったと思います。
さらに実際の登録・操作方法についても分かりやすく理解して頂けるようにご説明資料も作成し、できる限り「簡単に使える」点をお伝えし、イメージを持ってもらえるようにしました。その上で詳しいことを聞きたいお取引先様には、より詳しい部分を説明し、さらに深い話を聞きたい方にはインフォマート社に直接連絡していただくという形を取りました。結果、事前準備・説明等が功を奏してスムーズな導入、コスト削減につながりました。(大田氏)
【Q】導入後の反響はいかがですか。
まずは2020年度上期だけで、約100万円の印紙・郵送代が削減できました。この削減効果は大きく、社内はもちろんのことお取引先にとっても、大きなメリットとして受け止められています。印刷・製本して部署から部署へと契約書を回し、捺印、郵送、お取引先からの返送を待つという契約書の締結フローが大幅に簡素化・効率化が図れました。締結後の契約書の紛失もなくなり、契約書の締結にかかる業務時間は半減しています。
また、これまでは基本的に営業担当者主導で契約書を締結していたので、営業部門に大きな業務負荷がかかっていましたが、電子化によって営業サポートがお取引先と直接会話しながら対応できるようになりました。結果、営業担当者から契約書締結に関する業務を切り離すことができたので、外食流通営業部では営業部隊が本来の仕事に専念できるようになりました。これからも営業担当者にはできる限り、本来の業務以外の負担をかけないようにしたいと考えています。シスムは手段であり、システムを使うことが目的ではありませんから。(大田氏)
電子化は「新しい文化」。自社にとっての最適解を見つけたい
【Q】今後の展望を教えてください。
電子契約によるコスト削減が実証されたため、全社への展開は進めやすくなったと感じています。お取引先からも、「電子契約で締結したい」という要望も増えてきました。現在は商品売買契約(得意先、仕入先)、秘密保持契約、製造物委託責任、リース契約、物流業務確認書を含む物流業務委託契約の5種類について電子化していますが、今後はさらに電子契約の種類を増やしていきたいと思います。
ただ、やはり電子契約での締結についてはまだまだ多くのリスクもありますので、起こりうるリスクを1件ずつ確認しながら、「電子契約の手引き」や「電子契約基本マニュアル」を作成して社内へ周知していきたいと思っています。併せて法的リスクの観点からいえば、電子契約サービスの利用が適さない契約もありますので、電子契約サービスの利用を可としながらも、対象の契約種類をさらに拡大していきたいと思います。(岩井氏)
今は、電子契約という前例がない状態で模索しながら新しい文化を作っているところです。越えるべき高いハードルはありますが、新しい文化を作っていくのは面白いですし、今後も自社としての最適解を探していくつもりです。やはりある程度ルーティン化できるものは、仕組みとシステムによって誰でもできるようにしたいです。システム化でさらにコストを削減し、作業の手間もどんどん減らしていって、その分を本業の稼ぎへと活かしていきたいと思います。(大田氏)
株式会社日本アクセス
本社所在地 : 〒141-8582 東京都品川区西品川一丁目1番1号
事業内容 : 食品、水産物、農産物、畜産物、花卉等の販売・輸出入・買付・加工・商品企画・開発・品質検査・分析業務及び貨物自動車運送事業、食品安全コンサルタント業務、情報処理サービス業務
代表者 : 代表取締役社長 社長執行役員 佐々木 淳一
企業サイト : https://www.nippon-access.co.jp/