災害対策用の備蓄食として注目されるアルファ米
尾西食品のアルファ米は、1995年の阪神・淡路大震災の時に注目され、官公庁や全国の自治体が災害対策用の備蓄食として採用するようになった。これまでの備蓄食は、カロリーの高さや賞味期限の長さが重要視されてきたが、尾西食品は食の安心・安全対策にも力を入れている。そのきっかけは、災害時に起きた問題がもとになっているそうだ。
「東日本大震災が発生した日の2日後、私は被災地の市役所へ支援物資を届けに行きました。その時の現場は、大量の救援物資が届けられていて、混乱の極みだったのです。そんな中、ある人工透析の患者さんにバナナが手渡されたことがあって。食事制限をされている方に、食べてはいけないものが渡ってしまったのですね。そこで改めて、我々はどなたでも安心して召し上がっていただけるものを開発しなければならないという使命を感じたのです」(小寺社長)
※透析患者は腎臓の機能低下により、体内のカリウムが排出しにくくなることがある。このため、カリウムを多く含む食物は制限が必要とされている。
被災地の状況を見た尾西食品は、食の安心・安全に適した商品開発に一層注力した。特定原材料(アレルギー物質)27品目を使用しないきのこご飯やライスクッキーなどの商品を開発していった。
災害時における、アレルギー対応食品の重要性
尾西食品のアレルギー対応商品が役立つことになったのは、2016年の熊本地震の時だったそうだ。
「熊本地震の時も、現地へ物資をお届けに行ったのです。そこでは病院などの管理栄養士さんが特に困っていました。物資はありがたいけど、患者さんの中にはノンアレルギーでなければ提供できない方がいるというのです。私がアレルギー対応食品を中心に持って行ったことで、特に内科や小児科の病院では喜んでいただけました」(小寺社長)