年々厳しくなる食の安全への要望に応える
近年、食の安全・安心への関心が高まり、食品関連の事件や事故に対する消費者の反応は敏感だ。そのため、アレルゲンの表示はもちろん、工場内でのコンタミネーション(異物の混入)にまで厳しい管理が求められるようになった。そんな中、菅野製麺所は早くから衛生管理の体制作りに取り組んできたそうだ。
「弊社では25年前から、生産ラインのゾーニング、作業場や冷蔵庫の温度管理など、安全衛生管理やアレルギーへの配慮を徹底してきました。というのも、当時商品供給していた他社の大手製麺メーカーは、いち早く5S運動(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)を提唱し、HACCP方式を取り入れた先駆的企業だったので、その基準作りの段階から深く関わることができたからです」(菅野社長)
65年間の無事故を実現した厳格な管理体制
飲食店の中には、より安心できる食品を求める消費者のニーズに応えたいと、仕入れ元を菅野製麺所に乗り換えるところもある。実際、菅野製麺所では生産工場内に品質管理課を置き、厳格な管理体制を整えているという。
「品質管理課は、1日50枚にもなるHACCP関連の書類をチェックする事務教育部門と、麺の検査を行う検査室部門に分かれています。検査室では、日々の生産ライン稼働前に衛生機関に準じた微生物検査と理化学検査を実施しています」(善明氏)
検査結果はデータ化し、3年間保管するという。さらに、菌検査や施設の点検も欠かさない。
「工場内の環境は、製麺室や作業場、冷却庫、練り水など、17か所に温度計を設置し、24時間モニタリングを徹底しています。製造ラインの清掃状態を確認するためのふき取り検査や、空気中の菌検査も定期的に実施しています。また、菌検査以外にも、ストレーナー(異物を除去するために用いる網状の器具)の導入や、さらに万が一に備え、全ラインに金属探知器を設置しています」(善明氏)