キャッチコピーから“こだわり”を外して、年間売上1,000万食~お水がいらない冷凍袋麺(キンレイ)

卸・メーカー2017.03.07

キャッチコピーから“こだわり”を外して、年間売上1,000万食~お水がいらない冷凍袋麺(キンレイ)

2017.03.07

キャッチコピーから“こだわり”を外して、年間売上1,000万食~お水がいらない冷凍袋麺(キンレイ)

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うどんやラーメンなどの具材、麺、スープをまとめて冷凍した、キンレイの袋麺「お水がいらない」シリーズ。その名の通り沸騰した湯を用意する必要はなく、空の鍋に冷凍のままの中身を入れて、火にかけるだけの簡単調理だ。現在、スーパーを中心に年間1,000万食以上を出荷するヒット商品となっている。

同社のスーパー向け袋麺は発売から10年以上経過しているが、売上を大きく伸ばしたのは数年前からとなる。それまでは消費者に認知されず、年間数万食の出荷数にとどまっていたそうだ。多くの他社製商品と競合する中で、どのように認知度を積み上げていったのか。商品企画担当の福田暢雄さんにお話を伺った。

目次

調理法や素材にとことんこだわった「鍋焼きうどん」

キンレイの「お水がいらない」シリーズは、うどんやラーメン各8品ずつを展開している。いずれもスープ、麺、具材が重なった三層構造で、水が不要の調理だ。スープと麺を別々に凍らせることで、加熱後の麺がコシのある状態で茹で上がる。

『お水がいらない』冷凍袋麺シリーズ

「『お水がいらない』の前進は、1978年からコンビニ向けに販売していたアルミ容器入りの冷凍鍋焼きうどんです。これをスーパー向けに販売するため、2006年に製法をそのままにして容器のない袋麺『料亭の匠』を売り出しました」

『料亭の匠』は有頭海老や鶏肉など9種類の具材を入れ、コンビニ商品よりも高級路線で展開。1袋500円前後で販売した。こだわりの素材や味で自信の持てる商品だったが、年間出荷数はわずか1万食ほどで不振に終わったという。

「当時、一般的なスーパーでは高級な冷凍食品のニーズがなく、ほとんど取り扱っていただけませんでした。市場を理解せずに、“良いものを提案すれば売れるはずだ”と過信していたんですね。高級スーパーや百貨店であれば違ったかもしれませんが、そういった販路の開拓もできていませんでした」

素材から簡便性へと、訴求内容を変更

『料亭の匠』は消費者の手に届くどころか、店舗のバイヤーを納得させることさえできなかった。このままでは終売となる危機が迫り、2008年に商品の価格やパッケージを見直すことにした。

「高級感を残しつつ具材を変更し、300円台というお求めやすい価格に設定しました。またストレートスープにこだわりがあるので、商品パッケージに“だし香る”というキャッチコピーを入れたのですが、お客様には伝わらなかったですね。商品を手に取っていただけませんでした」

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