ここで新たに投入した『お水がいらない ラーメン横綱』が功を奏し、売上は100万食を超えた。シリーズ全体の年間売上500万食にこの成果が加わり、翌年には1,000万食の大台が見えてきた。
「スーパーでは、レンジ調理できない冷凍食品は売れないと言われていました。ところが、『お水がいらない』シリーズが売れたことにより、鍋調理の商品でも売れるという認識になってきたのです。この効果もあり、一幻、無双など他のラーメンの品揃えを増やすことができました」
ここからキンレイは販売戦略を商品単体からシリーズ全体とする改革に着手。2014年にロゴやパッケージデザインを一新し、“なべやき屋キンレイ”ブランドを立ち上げた。この効果が大きく出たのは、2016年の春。テレビ番組で『お水がいらない』のラーメンが取り上げられたことをきっかけに、シリーズ全体の出荷数は1,200万食を突破する勢いとなった。
「テレビで商品が取り上げられても1発当たって終わるケースが多いのですが、シリーズ化したことによって、放送された商品以外のうどんやラーメンも売れていきました。ファンの方がSNSや口コミで広げていただいたことも、売り上げ増につながった要因です」
冷凍だから美味しい「鍋焼きうどん」
こうしてキンレイは消費者との間にあった冷凍麺に対するイメージの差を埋めていき、商品価値を創出していった。
「お客様から“最近、美味しくなったね”と言われることが増えてきています。鍋焼きうどんの中身は40年間ほとんど変わらず、昔からずっと美味しいのですが(笑)」
自社が抱くこだわりをどんなにアピールしても消費者には届かず、消費者目線に立ち返って勝負をかけた「なべやき屋キンレイ」。鍋のフタが開きかけたロゴマークには、できあがった鍋料理の湯気が広がるところに未来への発展と希望を込めているという。グツグツと煮込まれた持ち味は、湯気とともにこれからも広がっていくだろう。
株式会社キンレイ
本部:東京都豊島区池袋2-36-1 KTエクセルビル5F
電話:03-3989-0466
事業内容:冷凍食品の製造・販売
公式HP:http://www.kinrei.com/
お話:生産本部 商品部 商品企画チームリーダー 福田暢雄さん