急拡大の裏で直面した「教育」と「管理」の限界
【Q】V-Manage導入以前、どのような課題を抱えていましたか?

執行役員(以下同):創業当初は私たちが直接指導できましたが、1年で7店舗も出店するペースになると、教育が物理的に追いつかなくなりました。『聞いていません』『教わっていません』という認識のズレが多発。さらに中途社員は前職のやり方が染み付いていることもあり、店舗によってオペレーションにバラつきが出てしまったのです。『電気の消し忘れ』や『名札の未着用』といった些細なミスも含め、全員が同じ基準で、当たり前のことを徹底できる状態にする必要がありました。
また、アナログな管理体制も限界を迎えていました。以前は20店舗以上の衛生チェックシートなどを全て『紙』で管理していました。毎月末に大量の紙を回収・仕分けし、未提出を確認するだけで丸3~4日もかかっていたんです。管理側の負担も相当なものでした。
目的は効率化ではない。「絶対に事故を起こさない」決断
【Q】多くのツールがある中で、なぜV-Manageを選ばれたのですか?
根本的な目的は、業務効率化以前に『事故防止』です。代表の織田が常々言うように、飲食店で絶対に起こしてはならないのが『衛生事故』と『火災』です。これらが起きれば、お客様の信頼もブランドも一瞬で失います。店舗数が増える今だからこそ、このリスクをゼロにする仕組みが必要でした。
当社が求めたのは、企業の存続に関わるリスクを防ぐための基盤でした。例えば、営業終了後の『フライヤーの電源切り忘れ』や食材管理。これらは『うっかり』では済まされません。口頭注意だけでなく、『V-Manage』で『いつ・誰が・何を』行ったかを可視化し、確実に実行させる仕組みとして導入を決めました。
「あえて絞る」戦略と、定着への3ステップ
【Q】現場への導入はどのように進めましたか?
現場の負担を考え、あえて『全ての業務はマニュアル化しない』方針をとりました。あまりに細かすぎると、ただの『作業』になり、現場が疲弊してしまうからです。登録したのは事故防止や開店・閉店作業など、『運営する上で絶対にやらなければならない必要不可欠な業務』のみ。1店舗あたり約70個のタスクに絞り込んでいます。だからこそ、実施率が99%近くあっても私は満足していません。これらは『やって当たり前』の業務しか登録していないので、100%でなければ意味がないんです。
さらに、定着のために以下の3つのステップを踏みました。
1.トップダウンでの意識付け
「これは単なる作業報告ではない。お店とお客様を守るために不可欠な業務だ」と、私自身が店長目線で目的を伝え続けました。
2.段階的な浸透
いきなり全員ではなく、まず社員(店長)が完璧にできる状態を目指し、そこからアルバイトへ権限を移譲していきました。
3.評価制度への連動
これが大きかったです。実施状況を評価や賞賛の対象にしました。
【Q】評価制度への連動とは、具体的にどのようなものでしょうか?

タスク実施率をランキング化し、優秀な店舗や個人を表彰する制度を作りました。例えば、年末の社内イベントで表彰を行い、インセンティブを出すといった形です。
地味な作業も、しっかりと評価・還元される仕組みにすることで、『やらなきゃ』から『やって評価されたい』というポジティブな動機に変わりました。今ではゲーム感覚で取り組んでくれるスタッフも増えています。
成果:「紙の回収3日」が「1時間」へ。属人化も解消
【Q】導入後の成果を教えてください。
定量面では、タスク実施率がほぼ100%になりました。『100%がスタートライン』という意識が浸透しています。管理工数も激減しました。毎月数日かかっていた紙の回収作業は、デジタル化により全店舗合わせても『1時間以内』に短縮。記入漏れも即座に修正依頼ができ、紛失リスクもゼロになりました。
また、定性面では「業務の属人化解消」が進んでいます。象徴的なのが『グリストラップ清掃』です。弊社では全店舗で毎日必ず実施している重要な業務ですが、以前は『汚い・やり方が不明』と敬遠され、特定の社員しかできませんでした。
『V-Manage』に動画マニュアルを入れたことで、新人や外国人スタッフでもスマホで確認しながら作業できるようになり、今では女性アルバイトスタッフも抵抗なく担当してくれています。『あの人しかできない』をなくし、誰でも高いレベルで運営できる状態になりました。
V-Manageは「組織の健康診断ツール」
【Q】最後に、今後の展望をお聞かせください。

『V-Manage』は、組織の状態を映す『健康診断ツール』だと感じています。例えば、いつも完璧な店長のタスク実施時間がズレたり、ある店舗だけアルバイトの実施率が下がったりすると、そこにはモチベーション低下や人間関係の悪化などのサインが隠れています。
数字の違和感をきっかけに『最近どう?』と連絡を入れることで、早期フォローが可能になります。今後はこの仕組みをさらに磨き、スタッフ全員が『当事者意識』を持って店作りができる強い組織を目指していきます。
株式会社THAN
本社所在地:京都府京都市下京区立売西町66番地京都証券ビル405
設立:2017年4月3日
代表者:代表取締役 織田裕貴
企業公式HP:https://than.co.jp/
次の段落










