『商品規格書』とは、いわば食品の履歴書のようなもの。原材料の工場や産地はどこか、製法や内容物はどのようなものか、製造工程や製造環境はどうか、など製品の細かい情報までひと目で判る書類だ。
「これまで、弊社主力業態の「備長扇屋」では、独自のエクセルフォーマットによって商品規格書を管理していました。しかし、メーカーや卸から提出された商品規格書はフォーマットが違っていたり、そもそも提出されないものがあったりと、とても規格書を管理できているとは、言えない状態でした」(長島氏)
お客様の信頼に、100%応えたい
同社のグループ全体の仕入れ商品数はおよそ5000アイテム。エクセルを使ったメールやFAXのやりとりでは、主力業態以外の商品規格書を管理することは不可能と判断した同社は、紙の商品規格書に見切りをつけ、データでの管理へと踏み切る。システムの導入に当たっては、さまざまな管理システムを吟味し、最終的に外食企業の利用率が高いBtoBプラットフォーム規格書の導入を決めたという。
「社内でもブランドによって、食の安心・安全について異なる考えを持っていたので、全アイテムの規格書管理に向けては、社内でかなりの温度差がありました。しかし、管理すべき項目が明確になることや、データ管理によるメリットをグループ内で繰り返し伝えることで、その温度差は解消されました」(長島氏)
規格書管理に向けた懸命な取り組みの結果、取引先企業からの商品規格書回収率は、すでに90%を超えているという。しかし、その数字を聞いてなお、長島氏は首を横に振る。
「私は、商品規格書の回収率90%は、決して高い数字だとは思っていません。100%を回収しない限り『本当の安全』を謳えない以上、極端な話99%でも0%でも同じ意味だと思っています。安全・安心はお客様に対する当然の約束です。だからこそ、回収率にこだわり続けて、近い将来すべてのメニューに対し、お問合せ対応ができる体制を整えるつもりです」(長島氏)