ブームの兆しを汲んで生まれた、液体塩こうじ
米こうじ(麹・糀)に塩と水を加えて発酵・熟成させた調味料、塩こうじ。日本古来より漬物の漬け床として使われていたものが、2011年後半にテレビで紹介されたことをきっかけにブームが巻き起こった。野菜はもちろん、肉や魚を漬け込めば、塩こうじの酵素ででんぷんやたんぱく質が分解され、柔らかくなり旨味が出る。様々な用途を紹介したレシピ本や料理番組が登場したことは記憶に新しい。
「当社が通常タイプの塩こうじ商品を販売したのは、2012年4月でした。塩こうじは、当社がメインとする味噌と原材料が共通しているため取り掛かりやすく、すぐに商品化を進めました」
ハナマルキが液体タイプの塩こうじを販売したのは、通常タイプ発売の半年後となる2012年10月。消費者のひと言が開発のきっかけだったという。
「『塩こうじの液体タイプがあったら便利なのに』という消費者のお声が当社に届いたのです。ドロドロの塩こうじをみりんのような液体にできないかと。塩こうじが支持を得ているうちに発売したいという考えもあり、当社の技術部門が尽力し、短期間での商品化が実現しました」
そして家庭用『液体塩こうじ』は、発売後わずか1ヶ月間で40万本を売るヒット商品となった。
家庭用のヒット後も続けた、部門を問わない議論
当時は、『液体塩こうじ』がブームに乗って売れたと見られていた。しかしハナマルキでは、液体としての特徴を調べていくうちに、一過性ではない大きな可能性を感じていったという。