協同食品では、新しい商品を輸入する際には、海外のメーカーであっても標準商品規格書での提出を求めているという。また、この規格書を提出できるかどうかも、商品選定の際の重要なものさしになっているそうだ。
「近年流行した『バージンココナッツオイル』の場合、生産国はスリランカ、フィリピン、タイなど複数の候補がありました。しかし事前調査の結果、当社の求める規格書を提出できたのは、ISO設備を整えたタイのメーカーだけでした。当社は、このメーカーと契約・販売し、おかげさまで今のところ何の問題も起きていません。しかし、他のメーカーではトラブルも発生していたようです」(西野氏)
ブーム以降、ココナツオイルに関する事故や回収情報は絶えない。特にカビの発生など、健康被害につながるような事故も多く、しっかりとした製造工程の確認や、情報管理の徹底が望まれている。
「海外では、日本人が求めている食の安全基準を下回る工場も少なくありません。システムをいくら構築しようと、“本当の姿”はわからないのが海外の企業です。 だからこそ、当社では規格書に則った書類提出を義務付け、厳格な審査を行います。“見えない”からこそ、私たちインポーターがその企業の姿勢を見極めることが重要なのです」(山野井氏)
対応部署を新設。“諦め”を払拭して信頼を勝ち取る
協同食品では、食の安全・安心の対策を強化するため、社内の体制も変えた。以前は、仕入れ担当者がクレーム対応も兼任していたが、貿易業務と並行して行うため、その対応スピードは著しく遅かったという。そこで、2015年2月より、規格書の作成とお客様対応を専門に行う『商品部』という部署を立ち上げた。
「お客様からのお問い合わせを受けて、メーカーに確認する場合は、とにかく迅速な対応が必要になります。その際もまず規格書を読み込み、できる限り具体的な想像を巡らせています。例えば、商品の変色が発生している場合、商品の製造工程上に問題はなかったか、原料由来の可能性はないか、想定される原因をこちらから伝えることで、メーカー側の回答や対応が早く正確になるのです」(山野井氏)
会社をもっとおもしろく。そのベースにあるものは
現在の輸入食材のトレンドは、バージンココナッツオイルにみられるような、へルシー志向が強い。しかし、ヒット商品は、時として意外なところで生まれたりするものだ。過去に売れると思って輸入した、バーベキューソースが思ったほど売れなかったり、それほど期待していなかったマスタードが爆発的に売れたりと、商品開発は常に冒険的な要素が多いという。
「商品開発はイチかバチか。でも、そういうことも仕掛けないと、会社はおもしろくなくなってしまいますから」(西野氏)
しかしどんな面白い商品であっても、食の安全・安心という下地があってこそ。冒険心あふれる商品開発も、商品規格書を活用した安全確保によって支えられている。
「新しい商品の開発も、もちろん大切ですが、それ以上にこれからは、食の安全・安心について、もっと深く提案しなければならないと感じます。特に輸入品を扱う会社なので、食の安全対策は、まだこれからだと思われているかも知れません。しかし、だからこそチャンスなのです。これからも食の安全をサービスのひとつとしてとらえ、他社との差別化を進めていきたいと思います」(山野井氏)
協同食品株式会社
住所:大阪市北区太融寺町 2-21 ニュープラザビル403号
電話:06-6315-6366(代)
事業内容:輸入食品の輸入販売や卸売、国内農水産加工品の卸売販売など。
公式HP:http://www.kyodo-food.co.jp/