食の安全・安心を守るには、取引先の衛生管理も把握したい
定食屋やコーヒー専門店、ラーメン屋といったさまざまな業態を運営し、幅広い客層にサービスを提供している同社。以前から、食の安全・安心を守るには、まず自社が取り扱う商品について把握しないといけない、という意識が強かったという。
そこで、商品規格書の管理システム(BtoBプラットフォーム規格書)を導入し、取引先にこの仕組みを通して規格書を提出してもらうことで、情報管理を強化してきた。
これには、原材料の仕様を把握するだけでなく、ある大きな目的があった。
「弊社が使用する規格書フォーマットには、工場での製造工程や設備について記載する欄もあります。例えば、異物混入を防ぐために、製造ラインに金属探知機が設置されている、といった設備面も把握できるのです。設備が充実しているということは、衛生管理の意識が高い企業である、と判断することもできます」(橋本氏)
本来なら、自社が使用する商品がどのように作られているのか、取引先の製造現場に出向き、衛生管理の確認、改善を行いたい。しかし、すべての取引先をこまめに回るというのは、現実的には難しい。
「規格書を通じて、取引先の工場の衛生管理を把握する。これがまず、弊社が行いたいことでした」(橋本氏)
そしてもう1つ、マルハンダイニングには、どうしても成し遂げたいことがあった。
まかないだからこそ、アレルギー情報の提供が必要
同社のメインブランドとなるのは、株式会社マルハンが全国に展開するパチンコホールに併設された食事処「ごはんどき」だ。この「ごはんどき」には、他店にはない特徴がある。一般の来店客だけでなく、従業員のまかないを提供する場にもなっている、ということだ。
「パチンコホールに勤務する社員、アルバイトのまかないと言っても、約300店舗もあるので相当な数になります。中には、食物アレルギーを持っていたり、宗教上食べられない食材がある従業員の方もいらっしゃいます」(橋本氏)
そんな中、まかないを食べた従業員が、アレルギー症状を起こしてしまう事故が起きた。