物件の特徴を活かすために生まれた丼メニュー
「海鮮ばらちらし丼の専門店という発想は、初めからあったわけではありません。むしろ物件が見つかってから、この場所だったらどんな業態が合うかと考え始めました。というのも、店舗となる物件は、東京・三軒茶屋の駅から歩いてわずか3分ほど。人通りも多いという好立地だったにも関わらず、店の広さはわずか3坪しかなく、カウンター席でたった6席しか作れないという極狭の物件だったからです」
この狭さでは、長時間滞在型のカフェや通常の居酒屋のような、客単価を重視した業態は成立しない。短時間で食事をできる業態に絞って考えた時、最初に浮かんだのは寿司屋だったという。もともと同社では、他で海鮮居酒屋業態を運営しており、鮮魚の仕入れを得意としていたこともある。
しかし寿司屋では職人が必要となり、人件費も含めると運営には高い客単価が必須条件となる。そこで得意とした海鮮の部分を活かし、丼ものをすばやく提供するという、いまの業態に行き着いた。
「海街丼のコンセプトは、『町の魚屋がはじめた飲食店』です。うちで直接魚を販売するわけではありませんが、私の生まれ育った千葉県の銚子を活性化したいという想いもあり、この店の仕入れが、少しでも地元の魚の販売量を増やすことにつながればと」
商品の提供スピードが人気業態の要
「海街丼における売上の構成の柱は、とにかく“客数×回転率”です。原価率をできるだけ上げてお客様の満足度は高く設定します。その分、1杯当たりの利益率は下りますが、そこは席の回転率を上げることでカバーしています」