国鉄時代にJR九州の外食事業が分社化
1996年、JR九州の外食事業が分社化して、JR九州フードサービスは生まれた。
「当時は国鉄時代の末期で、JR九州が鉄道の他に付加価値を生み出すべく、多くの事業を関連会社として設立しました。駅ビルなどの不動産や、キオスクをはじめとする物販、旅行会社などが生まれ、外食事業が当社になったのです」
同社はJR九州の駅構内や駅ビル、グループが経営するホテルに「うまや」を中心とした居酒屋や洋食、麺業態を相次いで展開。2002年には東京の赤坂に1階と2階合わせて150席を擁する一軒家の「赤坂うまや」を出店し、都心への進出を果たした。2012年には海外進出も果たし、最近ではJR九州の高級寝台列車「ななつ星in九州」で提供される料理を担い、地域の食の魅力を国内外の観光客に発信している。
中澤社長によると、この成長に欠かせない要素の1つが、スタッフの仕事の質を向上させることだったという。中でも気をつけたのが、食を提供する企業にとって重要な購買部門の業務内容だ。
「購買スタッフでしたら、食材を探し、品質や数量、納品形態、価格を調べ、購入を決め、必要な店舗に送り込むといった本質的なことに注力することです」
ところが店舗数が拡大するにつれ、なかなか実行に移せない事情が生じることとなった。
「当社の取扱品目は、業態全体で約2万点あり、その中でも毎月動いているものは2千点ほどです。日々の発注や納品、締めなど、モノやお金が動く段階で必ず伝票を起こし、整理しますが、そのたびに誤差が出たりして、購買担当者は集計やチェックの作業に注力せざるを得ない状況でした。当然、本来の業務まで手が回らないどころか、月末には伝票整理のためにアルバイトを雇うほど作業に追われていたのです」
本来の業務へ専念させるための環境作り
そこで発注業務をシステム化し、紙の伝票を電子化して管理するようにしていった。同社が導入したものは、取引先企業とインターネットで通信し、日々の発注や毎月の棚卸管理、支払機能などを持つ「BtoBプラットフォーム受発注」だ。
「伝票の情報がコンピュータの中に一本化されたことで、取引先が何千箇所あろうと、ひとつの伝票をすぐに検索できるようになりました。担当者が伝票整理やチェックにかける時間が極端に短縮されましたね」