練り立てが一番美味しいモッツァレラチーズ
大阪では、すでにその名を知られているバル業態のRICCO。東京初進出に際して23歳の若さながら、店の責任者に抜擢されたのは石川雅也さん。2014年にRICCOへ入社し、1年半後には、東京の店を任されることになった腕利きのシェフだ。石川さんは、大阪の店で初めて手作りのモッツァレラチーズを食べた時の感動を、今も忘れないという。
「モッツァレラチーズというのは、市販のものでも種類によって風味や味の濃さ、歯ざわりなどが、かなり異なります。ただ、RICCOの“自家製モッツァレラ”は、それまで食べてきたもののイメージを変えるくらい美味しかったのです。こんなに美味しいチーズがあるんだ!と思いました」
そもそも名物の“自家製モッツァレラ”は、RICCOのオーナーである関口孝男氏が、イタリアで食べて感動した味を、日本でも再現したいとの思いから生まれている。しかし、国内ではモッツァレラチーズの原料となるカード(※生乳に乳酸菌と凝乳酵素を加えて作る凝固物)を扱っている牧場は数少ない。関口氏は全国の牧場を足で探し回り、ようやく飛騨高山の牧場へ辿り着いたという。
「一般的なチーズは完成した状態で、冷凍か冷蔵されて送られてきます。しかし、それではどうしても風味が落ちてしまうのです。弊社では今も飛騨高山の牧場から、その日の朝に絞った牛乳で作ったカードを直送してもらっています。原料から仕入れて自家製すると、原価は2倍近くかかってしまいますが、やはりモッツァレラチーズは練り立てが一番美味しいのです。なるべくできたてを食べていただきたいので、原料から仕入れ、店内で手作りすることにこだわっています」
練り立ては、ミルキーな風味でコク深く、食感はまるで弾力のある鶏肉のようだという。