つまり、ロイヤルグループには、グループ内で使用する商品を一括で購買担当するロイヤル株式会社があり、同社がサプライヤーから商品規格書を収集すること で情報の一元管理を行っているのだ。商品規格書は紙ではなくデータで授受するシステムを利用し、レシピを管理するシステムと連動させている。『栄養成分値、アレルギー物質一覧表』は、この仕組みを使って作成したものだ。
「情報管理という意味では、卸さんやメーカーさんの協力はとても重要です。我々は情報をもらえないと何もできないわけですから」(渕野氏)
表示については、二重三重のチェック
ロイヤル株式会社が集めた商品規格書をもとに、事業会社であるロイヤルホスト株式会社が一覧表やメニューブックなどを作成していくことになるが、ここでも表示ミスが起こらないようチェック体制がしかれている。
「グループで『食品表示ガイドライン』を制定しており、表示については、それにのっとって作成します。さらに、ホールディングスの品質保証推進部が、定期的に表示物等の監査を行い、その根拠や妥当性の確認を行っています」(山田氏)
加えて、ホールディングスや各事業会社による店舗の立入検査も行われているが、その際は各店舗でアレルギー一覧表が常備され、その情報が最新データに更新されているかを確認するという徹底ぶりである。
「最後は人」。従業員教育にも力を入れる
ロイヤルホストでは、アレルギー対応の1つとして、7大アレルゲンを使っていない子供向けの低アレルゲンメニューも販売している。きっかけとなったのは、 取引先から店舗でほとんど調理作業のない低アレルゲンカレーの提案だったという。店頭でのコンタミネーション(※1)を除けば販売が可能と判断し、商品化 した。
「その後、お客様からの要望もあって、低アレルゲンスパゲティ、ハンバーグなどラインナップを拡大してきています。低アレルゲンメニューは、まず製品(カレーやハンバーグ)を低アレルゲン商品専用の工場で作っていただき、店舗で調理をする際はコンタミネーションについての注意喚起をレシピマニュアルなどに細かく記載していることが必要です。もちろん、味がおいしいことも選択のポイントです」(山田氏)
さらに、ロイヤルグループでは、食の安全全般に関する従業員教育を充実させている。グループ共通の『食の安全安心に関するハンドブック』を用いた店舗での従業員教育(クルー含む)を はじめ、年に数回は『食品表示研修』を開き、商品開発・企画担当者や営業ラインの責任者が受講している。また、数年前から教育ツールと してe-ラーニングを導入し、部門長や店長・料理長向けに基本的な衛生管理や食品表示等に関する知識習得も図っている。
従業員教育について話している最中、渕野さんは「最後は“人”だと思うんですよね」と切り出した。
(※1)コンタミネーション:食品を製造する際に、機械や器具からアレルゲンが意図せずに混入すること。